カバ子の日記

生きていてくれるだけで嬉しい

なぜカフカ【変身】は名作で人々の生きる力になるのでしょうか

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私にとって本とは、とても辛い体験をした時やしんどいなと感じた時、寄り添い心の支えになるものだと思っています。

 

なぜか???

 

それは、私と同じような人達が他にもいる。

少なくとも作者は同じように感じている。

 

声に出して言えないほど、辛く苦しい気持ちや想いが本には書かれてあって、苦しいのは私だけじゃないんだと思えるからだと思います。

 

カフカの【変身】はどうでしょうか?

 

今年はカフカが亡くなって100年。

 

チェコ出身作家カフカの【変身】はサラリーマンがある日突然虫になるというお話です。

 

なぜ、ある日突然虫になるお話が名作で人々の生きる力になるのでしょうか???

 

カフカについて

フランツ・カフカ(Franz Kafka、チェコ語: František Kafka、1883年7月3日 - 1924年6月3日)は、現在のチェコ出身の小説家。プラハユダヤ人の家庭に生まれ、法律を学んだのち保険局に勤めながら作品を執筆した。どこかユーモラスな孤独感と不安の横溢する、夢の世界を想起させるような独特の小説作品を残した。その著作は数編の長編小説と多数の短編、日記および恋人などに宛てた膨大な量の手紙から成り、純粋な創作はその少なからぬ点数が未完であることで知られている。

生前は『変身』など数冊の著書がごく限られた範囲で知られるのみだったが、死後中絶された長編『審判』『城』『失踪者』を始めとする遺稿が友人マックス・ブロートによって発表されて再発見・再評価をうけ、特に実存主義的見地から注目されたことによって世界的なブームとなった。その後もドゥルーズ=ガタリの著作などにもカフカに関する物があるなど、現代思想においても影響がある。現在ではジェイムズ・ジョイスマルセル・プルーストと並び20世紀の文学を代表する作家と見なされている。

フランツ・カフカ - Wikipedia

 

【変身】のあらすじ

ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男グレーゴル・ザムザ。なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか……。謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。事実のみを冷静につたえる、まるでレポートのような文体が読者に与えた衝撃は、様ざまな解釈を呼び起こした。海外文学最高傑作のひとつ。

フランツ・カフカ、高橋義孝/訳 『変身』 | 新潮社

【変身】を読むと意味が分からない!?

有名で名作だからという理由で何気にカフカの【変身】を読むと意味が分からないままになってしまいがちです。

 

それもそのはず。

 

主人公グレゴール・ザムザにある日突然起こった出来事が淡々とグレゴールの視点から書かれているだけの本だから。

 

読んでいるこちらは、毒虫になった主人公がネバネバした液体の様なものを壁につけながら部屋を這いずり回る姿を想像しながら、(気持ち悪いなぁ)と読み進めていくのです。

 

当然主人公に自分を重ねるというという気持ちにはなれません。

けれども(きっと何か作者のメッセージが隠されているにちがいない)と思ってしまいがちです。

 

けれども、そんなメッセージはどこにもありません。

 

なので読んでいる方は、(なんである日突然虫になった?)とか(結局何が言いたかったの?)と「?」が続いてしまうのです。

 

なぜ、読む人によって作品の見方が違うのか?

じゃあ、なんで名作なん?ってイライラしてしまいますよね。

 

虫になった主人公に感情移入なんてできないという気持ちから登場人物に自分を重ねられず、ただただ事実だけが書かれている本を読む。

 

メッセージもない、けれど名作。

どういうこと???

 

【変身】を今自分に起きている事として当てはめて読んでみました。

 

例えば、「病気で誰にも会いたくない男が引きこもる話」

 

「上司との関係が上手くいかなくなった時の話」なんて見方もできるかもしれません。

 

または、「ずっと仲良かったと思われていたけれど実は違うかった家族関係の話」

 

あるいは、「身近な誰かの世話をする介護の話」

 

介護の立場から読んでみると、妹は今でいうヤングケアラーになります。

大好きだった兄がある日突然虫になり、兄のお世話が出来るのは妹だけ。

そんな時部屋の様子を見た妹が兄の為にと思った事と、母が想う兄の気持ちと主人公が母娘の会話で感じた気持ちが描かれてあって(うわぁ、深いなぁ)と思ってしまうのでした。

 

家族を想う気持ちと、良かれと思ってやっていることが、無意識に家族を支配してしまっているかもしれない。

それが、家族にとってどういうことなのか?

 

結局人間って自分が一番大切なんだろうな。

 

これって正解とか不正解とかではなく、誰もが持っている感情だと思います。

 

その人の性格によって捉え方も違います。

 

 

そうやって読む視点を変えると、私達の日常生活で起こっている身近な問題として読むことができるんです。

 

作者はその場で起こった事実だけを書いているので、「こうだから、こうしようね。」とは教えてくれません。

 

だけど、今まさに現実で起こっている現状をそのまま書いてくれている気持ちが「そうそう」「そうなんだよね」と教えてくれている(気づかせてくれる)んです。

 

そうやって読んでみると(気持ち悪いなぁ)と思っていた気持ちはどこへやら。

 

読んでいて、カフカが人間観察をしている描写は凄いなぁと感心させられるばかり。

 

いつの時代だって、病気や上司、家族関係に悩んでいるものなんだと気づかされます。

 

私は今まで、白か黒かはっきりさせないといけないものだ。と思っていました。

 

けれども、そうではなくて、私達が生きる社会には何が正しいのかとかどちらに進めばいいのかなんて、分からないことだらけ。

 

そんな時、正しいメッセージしかなかったら、この世はとても生きづらいと思います。

 

正論だけで話すのではなく、まずはその人の気持ちに寄り添う。(頭では分かっていても、出来ないのが実際なのですが。)

辛い時はどうしたって辛いねん。

そんな時カフカの変身を読んで、(今自分はこんな状態なんだ。)とか(彼は今こんな気持ちなんだ。)と思うこと。気づき。

そうしたら、一緒に泣いたりすることが出来るんじゃないのかな。

 

うーん。それでもイマイチ分からない。という方には、こちらのブログがお勧めです。

 

ものすごーくゆっくりですが、メチャメチャ詳しく変身についての解説がされています。

自分なりの解釈でも勿論良いのですが、頭木さんの解説を読むとカフカの変身がまた面白いものになっています。

咬んだり刺したりするカフカの『変身』 | 頭木弘樹 | WEBみすず

 

作者の頭木さんは、以前ブログで【うんこ文学】のご紹介をさせて頂いた私の好きな作家さんです。

 

【絶望名人カフカの人生論】の表紙の絵が作者のツイッターのアイコンにもなっている【絶望名人カフカの人生論】もお勧めの本です。

 

www.yumepolly.com

頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)

文学紹介者。筑波大学卒。大学3年の20歳のときに難病(潰瘍性大腸炎)になり、13年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)を編訳。他の編訳書に『絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ』(草思社文庫)、『ミステリー・カット版 カラマーゾフの兄弟』(春秋社)。著書に『絶望読書』(河出文庫)、『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』(春秋社)、『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』(ちくま文庫)、『食べることと出すこと』(医学書院)、『自分疲れ』(創元社)。編者を務めたアンソロジーに『絶望図書館』『トラウマ文学館』『うんこ文学』(いずれもちくま文庫)、『絶望書店』(河出書房新社)、『ひきこもり図書館』(毎日新聞出版)、エッセイ集に『口の立つやつが勝つってことでいいのか』(青土社)がある。NHKラジオ深夜便」の『絶望名言』のコーナーに出演中。

ブログ:https://ameblo.jp/kafka-kashiragi/

 

なぜカフカ【変身】は名作で人々の生きる力になるのでしょうかのまとめ

読む人によって捉え方がたくさんあるので、多くの人の感じ方や思いが途絶えないので名作と言われるのではと思います。

 

カフカに前向きな内容はありません。

 

けれども、カフカの作品には人の気持ちや行動などがまるで鏡のように映し出され、自分を見つめることが出来る所。

 

その姿を見て、自分で考えぬいていく力を教えてくれるんだと思います。

自分がどう感じるか。良いも悪いも自分次第。

 

カフカの【変身】少しは興味が出ましたか???