カバ子の日記

生きていてくれるだけで嬉しい

【絶望名人カフカの人生論】頭木弘樹 新潮文庫

 

カフカの【変身】を読んでからカフカの事をもっと知りたいと思う様になりました。

そこで一番興味が湧いた本が【絶望名人カフカの人生論】という本です。

ネガティブ思考のカフカは予想をはるか超えたネガティブ思考でした。

絶望名人カフカの人生論

はじめに カフカの肖像いかに絶望し、いかに生きたか

本当に心が辛い時、必要な言葉は何か?

ある人はとても辛い時に、健康な方から「やまない雨はない」と言われたそうです。

その方は励まそうと声をかけてくださったのだと思います。

それが余計に辛かった。

しんどいのは「今」なんです。

だからもし誰かが同じ状態になった時、絶対にこの言葉は言わない様にしようと心に決めたそうです。

 

「辛い時も楽しい時もある」

本当に辛い時、しんどい時にこんな事いわれても全く入ってこないよ。

そう言われました。

健康だとつい、励まそうとしてしまいますよね。

 

心が辛かった時、うれしかったこと

ただただ一緒に泣いてくれた

 

ずっと背中をさすってくれた

 

何も言わず、側にいてくれた

 

辛い時は、その気持ちに寄り添ってくれる人

自分のつらい気持ちをよく理解してくれる人

 

これはとても気持ちが楽になります。

 

健康だと寄り添い方が、分かっているようで分からない。

それは当たり前です。

実際になってみないと、本当のつらさは分からないものだからです。

 

作者の頭木弘樹さんは、

ポジティブな名言はたしかに価値のあるものですが、心がつらいときにいきなり読んでも本当には心に届きません。

 

まずはネガティブな気持ちにひたりきることこそ大切とおっしゃっています。

 

カフカはあらゆることに失敗し、作品も完成したものがなくどれも未完成で、びっくりするくらいネガティブです。

 

それでもなぜか、カフカの言葉を読むとホッとする部分があります。

 

いったい、どんな絶望的な言葉を発しているのでしょうか。

 

各章から一つづつ、私が特に気になった「絶望的名言」をご紹介致します。

第一章 将来に絶望した!

他の人はやすやすとやってのけることを、自分はできない

たとえば、ここにAとBの二人がいて、Aは階段を一気に五段あがっていくのに、Bは一段しかあがれません。しかし、Bにとってその一段は、Aの五段に相当するのです。

Aはその五段だけでなく、さらに百段、千段と着実にあがっていくでしょう。

その間に通過した階段の一段一段は、彼にとってはたいしたことではありません。

しかし、Bにとって、その一段は、人生で最初の、絶壁のような、全力を尽くしても登りきることができない階段です。

乗り越えられないのはもちろん、そもそも取っ付くことさえ不可能なのです。

父への手紙

カフカの父への手紙を全部読んでみたいと思いました。

 

カフカが感じていた気持ちは誰にでもあるのではないでしょうか。

 

私にはあります。

 

「○○ちゃんに出来てなんであなたにはできないの?」

「○○ちゃんが出来るんやから、あなたもできるはず」

「みんな出来るんだからあなたにできないわけがない」

 

言い方は違いますが、「出来て当たり前」の前提で親や先生に言われた事ってありませんか?

 

「みんな」や「平均」これらの言葉が大嫌いでした。

 

子供の頃他人と比較された事で(私にはできないんだ)そう落ち込んでいた時にカフカの本を読みたかった。

 

「出来なくても良いんだよ。」

「ゆっくりでいいんだよ。」

そういう言葉が欲しかった人はたくさんいてる気がします。

 

私はカフカの様に説明する事が出来ませんが、カフカはとても分かりやすく文章で説明されています。(それを父親に読んでもらう事はありませんでしたが)

 

第二章 世の中に絶望した!

孤独さが足りない、さびしさが足りない

ずいぶん遠くまで歩きました。

五時間ほど、ひとりで。

それでも孤独さが足りない。

まったく人通りのない谷間なのですが、

それでもさびしさが足りない。

フェリーツェへの手紙

苦悩で心がいっぱいになると、人は今いる場所から遠くへ行こうとするそうです。

孤独を求めることで心が安まり、そうすることで、少しでも心の回復をはかっているのだそうです。

「一人にして欲しい」

一人になりたいのはそのためです。

 

第三章  自分の身体に絶望した!

心配がふれあがって本当の病気に

ぼくはただ自分のことばかり心配していました。

ありとあらゆることを心配していました。

 

たとえば健康について。

 

ふとしたことから消化不良、脱毛、背骨の歪みなどが気にかかります。

 

その心配がだんだんふくれあがっていって、最後には本当の病気にかかってしまうのです。

父への手紙

 

父への手紙に書かれている内容は、カフカが実際に父親に対してどう思っていたのかが分かります。

 

結局この手紙は父へは渡されなかったそうなのですが、もし父親がこの手紙を読んでいたら…と思うとその後、カフカと上手くコミュニケーションが出来たのかなぁと考えてしまいます。

 

自分に関心を持ちすぎると、かえってしんどくなる。

 

これも分かります。

 

一旦ニキビが気になると、目立たなくなるまでいろんな薬を試してみたり、治るまでありとあらゆる方法でいじりたおして、返ってひどくなったりした事があります。

 

考えれば考えるほど、堂々巡りでしんどくなってしまうんですよね。

 

考えても仕方がない事は考えないようにしています。

 

第四章 自分の心の弱さに絶望した!

過去のつらい経験を決して忘れない

ぼくは本当は他の人たちと同じように泳げる。

ただ、他の人たちよりも過去の記憶が鮮明で、かつて泳げなかったという事実が、どうしても忘れられない。

そのため、今は泳げるという事実すら、ぼくにとってはなんの足しにもならず、ぼくはどうしても泳ぐことができないのだ

断片

これも分かります。

一度出来た事があるのに、何か嫌な出来事があって、そこから出来なくなってしまうこと。

水泳を恋愛に置き換えると分かりやすい。

過去のつらい恋愛経験が忘れられず、実際に恋愛が出来なくなる。

 

トラウマ…ですよね。

 

作者は、カフカはそれが水泳レベルでも起きてしまうとおっしゃっています。

第五章 親に絶望した!

父親の前に出ると自信が失われる

ぼくはお父さんの前に出たが最後、まるで自信というものをなくしていました。

その代わり、とめどもなく罪の意識がこみあげてきました。

そのことを思い出しながら、ぼくはある作中人物について、「自分が死んでも、恥ずかしさだけが後に残って、生き続けるかのようだった」と書いたことがあります。

父への手紙

 

作者の解説によるとカフカは三十六歳の時に、父への手紙を書かれているそうです。

 

その長さがびっくりする位長くて、十日がかりで書かれた手紙なんだそうです。

タイプ原稿で四十五ページ、ドイツ語のペーパーバックで七十五ページもあるそうです。

手紙って多くても便箋に4~5枚かと思っていました。

 

しかもその内容はすべて父親への恨み事。

 

三十六歳になって、ようやくその恨み事を文章にして書けたカフカ

 

三十六歳にもなって…と思われるかもしれませんが、言い返すと何を言われるか分からない。

何をされるか分からない。

言っても同じだという諦め。

 

これは性格にもよると思います。

 

相手に対して言えないのであれば、信頼できる友人や恋人に言って欲しい。

 

思っていることは、口に出して言って欲しい。

ムリなら、紙に書いて吐きだして欲しい。

そうしないとしんどい…

それが出来たら苦労しないよ。と言われそうですが…

 

それでも、声を大きくして言いたい。

思っていることは、その場で口に出して言おう。

ムリなら、紙に書いて吐きだそう。

そう強く思ってしまうのでした。

 

第六章 学校に絶望した!

何度成功しても自信は湧かず、ますます不安が高まる

自分は小学校一年も修了できないだろう、とぼくは思い込んでいました。

実際はそうなりませんでしたが、それでも自信は湧いてきません。

逆にぼくは、成功が重なるにつれて、最後はそれだけ惨めになるにちがいないと、かたくなに信じていました。

 

こんな状態で、どうして授業に身が入るでしょう?

 

どの教師が僕から向学心の火花を引き出せたでしょう?

 

授業に対するぼくの興味は、銀行で横領をした行員が、発覚を恐れてびくびくしながら、日常の業務をこなしているときの、心ここにあらずの状態と大差ありませんでした。

 

父への手紙

カフカの成績がよくなかった。

その一番の原因とは?

それは、カフカの思い込み。

 

「自分はダメにちがいない」

 

失敗した時は私にも結構当てはまるような気がします。

 

挫折したときに立ち上がる能力、楽観主義と自己意識を持ち続ける力って???

 

環境や子育ての影響は勿論ありますが、私はそれだけではないような気がします。

 

それは本人の性格。

 

持って生まれた個性をいかにうまく引き出せる子育てをするのか?

 

子供の個性を最大限に引き出せる親って少ないような気がします。

 

頭で分かっていても、性格はなかなか直せないものです。

 

いつの時代であっても子育ては難しい。

 

子供を想う気持ちが無意識に支配していたり、

親の価値観で話してしまいがちですが、子供を信じ、のびのびとさせてあげる事が何より大切なのかなと思いました。

 

それを実行出来ているのかは、別です。

どんなに頭で分かっていても‥

第七章 仕事に絶望した!

仕事に力を奪われる

ぼくが仕事を辞めれずにいるうちは、本当の自分というものがまったく失われている。

それがぼくにはいやというほどよくわかる。

仕事をしているぼくはまるで、溺れないように、できるだけ頭を高くあげたままにしているようだ。

それはなんとむずかしいことだろう。

なんと力が奪われていくことだろう

日記

やりたくない仕事をやっていく時は、本来の自分ではないのかもしれません。

 

それでも、多くの人はそうやって自分を殺して、その職業に就いて一生懸命になり、自分の夢をだんだんと忘れていくのかもしれません。

 

カフカは違います。

拒否はしますがそのために苦しんでいます。

 

第八章 夢に絶望した!

なぜ好きな仕事で身を立てようとしないのか

あなたはお聞きになるかもしれません。

なぜぼくがこの勤めを辞めないのかと。

なぜ文学の仕事で身をたてようとしないのかと。

それに対して、ぼくは次のような情けない返事しかできないのです。

ぼくにはそういう能力がありません。

おそらく、ぼくはこの勤めでダメになっていくでしょう。

それも急速にダメになっていくでしょう。

フェリーツェの父への手紙

作者の解説のように「そんなに仕事が嫌なら、辞めればいいじゃないか」と私も思いました。けれでもカフカには文学で生活費を得る自信がありませんでした。

 

そうです。

ここでもカフカの自身のなさがよくわかります。

 

この手紙は婚約者フェリーツェの父親に宛てた手紙だそうですが、勿論フェリーツェは父親にはこの手紙を渡していません。

 

それにしても、婚約者のフェリーツェはカフカの性格を分かっていた女性なのでしょうか。

 

2度も婚約をし破棄されているのに、カフカからの手紙を大切にしていたのは、それほどカフカの事が大切だったからだと思います。

 

第九章 結婚に絶望した!

「普通」にあこがれる

結婚し、家庭を築き、生まれてくる子供たちを育て、守り、少しだけ導いてあげること。

これこそひとりの人間にとって、この上ない成功です。

ぼうはそう確信しています。

多くの人々がごく簡単にそれをやってのけているからといって、そうではないという証拠にはなりません。

父への手紙

カフカは婚約をするも破棄し、結局生涯独身だったそうです。

 

カフカはとても優しい人なんだと思います。

 

優しすぎて、自分の事も相手の事も考えに考えて「どうせ」で終わらせてしまうんでしょうね。

第十章 子供を作ることに絶望した!

子供を持ちたいが、持てない

ぼくは、決して子供を持つことはないでしょう

フェリーツェへの手紙

カフカは心優しいので、子どもが好きな人だったと思います。

 

それでも、「どうせ自分には」とか「こんな僕が持つことなんて」とかって思っていたのかもしれません。

 

それでも子供を持っていたなら、人の気持ちが誰よりも分かる父親になっていたのかもしれません。

第十一章 人づきあいに絶望した!

人といると、自分の存在が消えていく

またいろんな人たちとムダな晩を過ごしました。

ぼくは彼らの話を聞くために努力しました。

しかし、いくら努力しても、ぼくはそこにいませんでした。

他のところにもいませんでした。

ひょっとするとぼくはこの二時間、生きていなかったのでしょうか。

そうにちがいありません。

なぜなら、もしぼくがあそこの椅子にすわって眠っていたのなら、ぼくの存在はもっとたしかだったでしょうから。

フェリーツェへの手紙

飲み会の場だったり女子会の場など、大勢の集まる場所で自分だけ話の中に入っていけない時ってありました。

 

その場にいるのに、自分の存在がいなくなってしまうような何ともいえない気持ち。

 

カフカのネガティブあるあるの表現は、とても分かりやすいです。

第十二章 真実に絶望した!

真実の道には、人をつまずかせる綱が

真実の道を進むためには、一本の綱の上を超えていかなければならない。

その綱は、べつに高いところに張られているわけではない。

それどころか、地面からほんの少しの高さに張られている。

それは歩いていかせるためよりも、むしろ、つまずかせるためのものであるようだ。

―罪、苦悩、希望、真実の道についての考察

同じドイツの文学者ゲーテは、「実り多いものだけが真実」と言っているそうです。

 

同じ真実でも捉え方の違い。

 

性格、個性。

 

結局は自分がどう捉えるか?なんですよね。

 

第十三章  食べることに絶望した!

極端な食事制限

夜、ぼくが食べないからといって、かわいそうな母はめそめそ泣く。

日記

 

カフカは健康のために、食べ物に対して注意していたようです。

 

食べ物か口から自分の身体に入れる物。

 

だから、ほんとうに身体の中に取り入れてもいいのか充分に吟味してから口にいれるそうです。

見た目や匂いで美味しそうと飛びついてしまう私には考えらません。

第十四章 不眠に絶望した!

眠れないし、眠りの質が悪い

今日はひどい不眠の夜でした。

何度も寝返りを打ちながら、やっと最後の二時間になって、無理矢理眠りに入りましたが、夢はとても夢とは言えず、眠りはなおさら眠りとは言えないありさまでした。

フェリーツェへの手紙

 

眠りたいのに、なかなか眠れずベッドで何度も寝返りを打つ経験は誰しも1度はあると思います。

カフカはそんな眠れない日々が多かったのかもしれません。

食べる事も、眠る事も出来ない。

たとえ成功したとしても、次は失敗するかもしれないと考える…

そんな毎日だと、とても息苦しく辛いですね。

第十五章 病気に絶望・・・・・していない!

骨折という美しい体験

いつだったか足を骨折したことがある。

生涯でもっとも美しい体験であった。

断片

作者はこう解説されています。

罪悪感が強く、自分を罰したいと願っている人は、無意識のうちに、自分にケガをさせようとしたり、病気にかかるようにしたりします。

 

そうして、ケガをしたり病気になったりすると、罰せられたことによって、心が安らぐのです。罪悪感が減るからです。

 

心の傷というのは目に見えない曖昧なもので、時間をかけてもなかなか順調に治っていくものではありません。

 

しかし、身体の傷ははっきりと目に見えますし、ある程度までの傷なら、時間とともにみるみる癒えていきます。

 

そこにカフカは美しさを感じたのではないでしょうか。

この心理には胸が痛みます。

そこまでして自分を追い込む必要があるのでしょうか。

フランツ・カフカ

フランツ・カフカ(Franz Kafka、チェコ語: František Kafka、1883年7月3日 - 1924年6月3日)は、現在のチェコ出身の小説家。

 

プラハユダヤ人の家庭に生まれ、法律を学んだのち保険局に勤めながら作品を執筆した。

 

どこかユーモラスな孤独感と不安の横溢する、夢の世界を想起させるような独特の小説作品を残した。

 

その著作は数編の長編小説と多数の短編、日記および恋人などに宛てた膨大な量の手紙から成り、純粋な創作はその少なからぬ点数が未完であることで知られている。

 

生前は『変身』など数冊の著書がごく限られた範囲で知られるのみだったが、死後中絶された長編『審判』『城』『失踪者』を始めとする遺稿が友人マックス・ブロートによって発表されて再発見・再評価をうけ、特に実存主義的見地から注目されたことによって世界的なブームとなった。

その後もドゥルーズ=ガタリの著作などにもカフカに関する物があるなど、現代思想においても影響がある。

現在ではジェイムズ・ジョイスマルセル・プルーストと並び20世紀の文学を代表する作家と見なされている。

フランツ・カフカ - Wikipedia

 

頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)

文学紹介者。筑波大学卒。

大学3年の20歳のときに難病(潰瘍性大腸炎)になり、13年間の闘病生活を送る。

そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)を編訳。

他の編訳書に『絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ』(草思社文庫)、『ミステリー・カット版 カラマーゾフの兄弟』(春秋社)。

著書に『絶望読書』(河出文庫)、『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』(春秋社)、『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』(ちくま文庫)、『食べることと出すこと』(医学書院)、『自分疲れ』(創元社)。

編者を務めたアンソロジーに『絶望図書館』『トラウマ文学館』『うんこ文学』(いずれもちくま文庫)、『絶望書店』(河出書房新社)、『ひきこもり図書館』(毎日新聞出版)、エッセイ集に『口の立つやつが勝つってことでいいのか』(青土社)がある。NHKラジオ深夜便」の『絶望名言』のコーナーに出演中。

ブログ:https://ameblo.jp/kafka-kashiragi/

 

絶望名人カフカの人生論のまとめ

目次に目を通しただけで(えっ?)って思いますよね。

そんなにネガティブになる???というくらいネガティブ思考です。

私はつい最近までネガティブ思考はダメだと思い込んでいました。

けれども、そうではないと気づかされました。

生きていると常にポジティブになれることもありません。

ネガティブな感情を一度受け止めてそこで得られるパワーはポジティブな言葉よりぐっと入ってくるものなんだと、この歳になって分かりました。

 

作者がおっしゃるように、絶望している人に是非読んでいただきたい。

 

そしてそうでない人にも。

 

もっと早くに読みたかったこの本ですが、私にとっては今だから身体に染み込んでいく本になったのかもしれません。

 

私の人生にカフカとの出会いが出来た事で少し救われた気がします。

 

カフカの言葉であなたの人生が少しでも楽になる事を願っています。

jibunnnoikikata.hatenablog.com

 

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なぜカフカ【変身】は名作で人々の生きる力になるのでしょうか

私にとって本とは、とても辛い体験をした時やしんどいなと感じた時、寄り添い心の支えになるものだと思っています。

 

なぜか???

 

それは、私と同じような人達が他にもいる。

少なくとも作者は同じように感じている。

 

声に出して言えないほど、辛く苦しい気持ちや想いが本には書かれてあって、苦しいのは私だけじゃないんだと思えるからだと思います。

 

カフカの【変身】はどうでしょうか?

 

今年はカフカが亡くなって100年。

 

チェコ出身作家カフカの【変身】はサラリーマンがある日突然虫になるというお話です。

 

なぜ、ある日突然虫になるお話が名作で人々の生きる力になるのでしょうか???

 

カフカについて

フランツ・カフカ(Franz Kafka、チェコ語: František Kafka、1883年7月3日 - 1924年6月3日)は、現在のチェコ出身の小説家。プラハユダヤ人の家庭に生まれ、法律を学んだのち保険局に勤めながら作品を執筆した。どこかユーモラスな孤独感と不安の横溢する、夢の世界を想起させるような独特の小説作品を残した。その著作は数編の長編小説と多数の短編、日記および恋人などに宛てた膨大な量の手紙から成り、純粋な創作はその少なからぬ点数が未完であることで知られている。

生前は『変身』など数冊の著書がごく限られた範囲で知られるのみだったが、死後中絶された長編『審判』『城』『失踪者』を始めとする遺稿が友人マックス・ブロートによって発表されて再発見・再評価をうけ、特に実存主義的見地から注目されたことによって世界的なブームとなった。その後もドゥルーズ=ガタリの著作などにもカフカに関する物があるなど、現代思想においても影響がある。現在ではジェイムズ・ジョイスマルセル・プルーストと並び20世紀の文学を代表する作家と見なされている。

フランツ・カフカ - Wikipedia

 

【変身】のあらすじ

ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男グレーゴル・ザムザ。なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか……。謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。事実のみを冷静につたえる、まるでレポートのような文体が読者に与えた衝撃は、様ざまな解釈を呼び起こした。海外文学最高傑作のひとつ。

フランツ・カフカ、高橋義孝/訳 『変身』 | 新潮社

【変身】を読むと意味が分からない!?

有名で名作だからという理由で何気にカフカの【変身】を読むと意味が分からないままになってしまいがちです。

 

それもそのはず。

 

主人公グレゴール・ザムザにある日突然起こった出来事が淡々とグレゴールの視点から書かれているだけの本だから。

 

読んでいるこちらは、毒虫になった主人公がネバネバした液体の様なものを壁につけながら部屋を這いずり回る姿を想像しながら、(気持ち悪いなぁ)と読み進めていくのです。

 

当然主人公に自分を重ねるというという気持ちにはなれません。

けれども(きっと何か作者のメッセージが隠されているにちがいない)と思ってしまいがちです。

 

けれども、そんなメッセージはどこにもありません。

 

なので読んでいる方は、(なんである日突然虫になった?)とか(結局何が言いたかったの?)と「?」が続いてしまうのです。

 

なぜ、読む人によって作品の見方が違うのか?

じゃあ、なんで名作なん?ってイライラしてしまいますよね。

 

虫になった主人公に感情移入なんてできないという気持ちから登場人物に自分を重ねられず、ただただ事実だけが書かれている本を読む。

 

メッセージもない、けれど名作。

どういうこと???

 

【変身】を今自分に起きている事として当てはめて読んでみました。

 

例えば、「病気で誰にも会いたくない男が引きこもる話」

 

「上司との関係が上手くいかなくなった時の話」なんて見方もできるかもしれません。

 

または、「ずっと仲良かったと思われていたけれど実は違うかった家族関係の話」

 

あるいは、「身近な誰かの世話をする介護の話」

 

介護の立場から読んでみると、妹は今でいうヤングケアラーになります。

大好きだった兄がある日突然虫になり、兄のお世話が出来るのは妹だけ。

そんな時部屋の様子を見た妹が兄の為にと思った事と、母が想う兄の気持ちと主人公が母娘の会話で感じた気持ちが描かれてあって(うわぁ、深いなぁ)と思ってしまうのでした。

 

家族を想う気持ちと、良かれと思ってやっていることが、無意識に家族を支配してしまっているかもしれない。

それが、家族にとってどういうことなのか?

 

結局人間って自分が一番大切なんだろうな。

 

これって正解とか不正解とかではなく、誰もが持っている感情だと思います。

 

その人の性格によって捉え方も違います。

 

 

そうやって読む視点を変えると、私達の日常生活で起こっている身近な問題として読むことができるんです。

 

作者はその場で起こった事実だけを書いているので、「こうだから、こうしようね。」とは教えてくれません。

 

だけど、今まさに現実で起こっている現状をそのまま書いてくれている気持ちが「そうそう」「そうなんだよね」と教えてくれている(気づかせてくれる)んです。

 

そうやって読んでみると(気持ち悪いなぁ)と思っていた気持ちはどこへやら。

 

読んでいて、カフカが人間観察をしている描写は凄いなぁと感心させられるばかり。

 

いつの時代だって、病気や上司、家族関係に悩んでいるものなんだと気づかされます。

 

私は今まで、白か黒かはっきりさせないといけないものだ。と思っていました。

 

けれども、そうではなくて、私達が生きる社会には何が正しいのかとかどちらに進めばいいのかなんて、分からないことだらけ。

 

そんな時、正しいメッセージしかなかったら、この世はとても生きづらいと思います。

 

正論だけで話すのではなく、まずはその人の気持ちに寄り添う。(頭では分かっていても、出来ないのが実際なのですが。)

辛い時はどうしたって辛いねん。

そんな時カフカの変身を読んで、(今自分はこんな状態なんだ。)とか(彼は今こんな気持ちなんだ。)と思うこと。気づき。

そうしたら、一緒に泣いたりすることが出来るんじゃないのかな。

 

うーん。それでもイマイチ分からない。という方には、こちらのブログがお勧めです。

 

ものすごーくゆっくりですが、メチャメチャ詳しく変身についての解説がされています。

自分なりの解釈でも勿論良いのですが、頭木さんの解説を読むとカフカの変身がまた面白いものになっています。

咬んだり刺したりするカフカの『変身』 | 頭木弘樹 | WEBみすず

 

作者の頭木さんは、以前ブログで【うんこ文学】のご紹介をさせて頂いた私の好きな作家さんです。

 

【絶望名人カフカの人生論】の表紙の絵が作者のツイッターのアイコンにもなっている【絶望名人カフカの人生論】もお勧めの本です。

 

www.yumepolly.com

頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)

文学紹介者。筑波大学卒。大学3年の20歳のときに難病(潰瘍性大腸炎)になり、13年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)を編訳。他の編訳書に『絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ』(草思社文庫)、『ミステリー・カット版 カラマーゾフの兄弟』(春秋社)。著書に『絶望読書』(河出文庫)、『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』(春秋社)、『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』(ちくま文庫)、『食べることと出すこと』(医学書院)、『自分疲れ』(創元社)。編者を務めたアンソロジーに『絶望図書館』『トラウマ文学館』『うんこ文学』(いずれもちくま文庫)、『絶望書店』(河出書房新社)、『ひきこもり図書館』(毎日新聞出版)、エッセイ集に『口の立つやつが勝つってことでいいのか』(青土社)がある。NHKラジオ深夜便」の『絶望名言』のコーナーに出演中。

ブログ:https://ameblo.jp/kafka-kashiragi/

 

なぜカフカ【変身】は名作で人々の生きる力になるのでしょうかのまとめ

読む人によって捉え方がたくさんあるので、多くの人の感じ方や思いが途絶えないので名作と言われるのではと思います。

 

カフカに前向きな内容はありません。

 

けれども、カフカの作品には人の気持ちや行動などがまるで鏡のように映し出され、自分を見つめることが出来る所。

 

その姿を見て、自分で考えぬいていく力を教えてくれるんだと思います。

自分がどう感じるか。良いも悪いも自分次第。

 

カフカの【変身】少しは興味が出ましたか???

 

人間関係が上手くいく名言集30選・人を見抜くための心得とは

人を見抜く事はけっして簡単ではありません。

けれども世の中には人を見抜く事が職業上欠かせないプロたちがいます。

そんな彼等は、いったい何どうやって人を見抜いているのでしょうか。

 

「人間関係が上手くいく名言集」と「人を見抜くための心得」をご紹介します。

人を見抜くための名言集

人間をよく理解する方法はたった1つしかない。

それは、彼らを判断するのにけっして急がないことだ

 

サント・ブーヴ(文芸批評家/フランス)

 

 

自分の欠点を直視し、認めることが大切だ。

ただし欠点にふりまわされてはいけない。

忍耐力、優しさ、人を見抜く目を欠点から学ぶべきである

 

ヘレン・ケラー(教育家・社会福祉活動家/アメリカ)

 

女の欠点を知ろうと思ったら、彼女の女友達の前で彼女を誉めてみることだ

ベンジャミン・フランクリン(政治家・気象学者/アメリカ)

 

困難な情勢になってはじめて、誰が敵か、誰が見方顔をしていたか、そして誰が本当の見方だったかわかるのだ

小林多喜二(小説家/日本)

 

友人らしく見える人々は、おおかた友人にあらず、かく見えぬ人がおおむね友人なり

デモクリトス(哲学者/古代ギリシャ

 

その人が好きか嫌いかを知るのに、一緒に旅をするよりも確実な方法はない

マーク・トウェイン(小説家/アメリカ)

 

人に対して感じるあらゆるいらだちや不快感は、自分自身を理解するのに役立つことがある

カール・グスタフユング(心理学者・精神科医/スイス)

 

信念のない人は、自分が知らないことを見てきたように話し、ことのほか強情である。これを、我が強くて剛強武勇な人に見損なってはならない

武田信玄戦国大名/日本)

 

諸君が自分自身に対して関心を持つのと同じように、他人が諸君に関心を持っているとは期待するな

バートランド・ラッセル

 

人は軽蔑されたと感じた時に最もよく怒る。

だから自身のある者はあまり怒らない

三木清(哲学者/日本)『人生論ノート』より

 

あなたは自分を「どんなことができるか」で判断する。

しかし、他人はあなたを「実際に何をした人か」で判断するのだ

レフ・トルストイ(小説家・思想家/ロシア)

 

他人を傷つけながら報復に反対し、心の広さを主張する者、こんな人間には決して近づいてはならぬ

魯迅(小説家・思想家/中国)

 

時は苦しみや争いを癒す。

なぜなら、人は変わるからだ。

人はもはや同一人ではないのである

 

フレーズ・パスカル(哲学者・数学者/フランス)

 

人間は1人1人を見ると、みんな履行で分別ありげだが、集団をなせば、たちまちバカになる

フリードリヒ・シラー(詩人・歴史家/ドイツ)

 

しばらく2人で黙っているといい。

その沈黙に耐えられる関係かどうか

 

セーレン・キルケゴール(哲学者/デンマーク

 

ある人間を判断するには、その人の言葉によるよりは、むしろ行動によった方がいい。

行動はよくないが、言葉だけ立派な人間が多いからだ

 

マッティアス・クラウディウス(詩人/ドイツ)

 

女の性格がわかるのは恋が始まる時ではない。

恋が終わる時だ

 

ローザ・ルクセンブルク(哲学者・革命家/ポーランド

 

他人の悪を能く見るものは、己が悪これを見ず

足利尊氏室町幕府初代将軍/日本)

 

あの人は良い人だとか、この人は悪い人だとか、そんな風に区別するなんて馬鹿げた話だ。人間は魅力があるか、さもなければ退屈か、そのどちらでしかない

オスカー・ワイルド(作家・劇作家/アイルランド

 

見えない所で、私のことをよくいっている人は、私の友人である

トーマス・フラー(神学者/イギリス)

 

嘘をついていると思ったら、信じたふりをすればいい。相手は大胆になり、さらにひどい嘘をついて正体を暴露するはずだ

アルトゥール・ショーペンハウアー(哲学者/ドイツ)

 

疑って安全を保つより、信じて裏切られる方がよい

隆慶一郎(小説家/日本)

 

私の会う人はすべて、必ず何かの点で私よりまさっている。私は常にその点をその人達から学ぶことにしている

ラルフ・ワルド・エマーソン(思想家・哲学者/アメリカ)

 

人間は、人間である。位や肩書や、富など見せかけだけの飾りではないか。

誠実な人間こそが、人間の王者なのだ

 

ロバート・バーンズ(詩人/スコットランド

 

世の中には善人とか悪人とかがあるわけではおそらくあるまい。ただ場合によって善人になったり、悪人になったりするだけである

アンリ・ド・レニエ(詩人・小説家/フランス)

 

こちらが悪ければ、悪い人間が寄ってくる。

こちらが信用することによって、信用される人間が生まれる

 

本田宗一郎(実業家/日本)

 

誰か人を批判したい気持ちが起きた場合には、世の中の人が見な自分と同じように恵まれているわけではないということを、ちょっと思い出すべきだ

F・スコット・フィッツジェラルド(小説家/アメリカ)

 

もし我々にまったく欠点がなければ、他人のあら探しをこれほど楽しむはずはあるまい

ラ・ロシェフコー(文学者・貴族/フランス)

 

文句ばかりいう相手、世間のあら探しが好きな相手と一緒にいるよりも、幸福そうな人、人生を楽しむことに関心を抱いている人に囲まれている様にしなさい

ウェイン・W・ダイアー(心理学者/アメリカ)

 

羽振りのいいときには、友達だっていってくる人間が何百人もいる

フランク・アバグネイル(元天才詐欺師/アメリカ)

 

人を見抜く心得

  1. 第一印象に騙されない
  2. 成功する人は、不平や不満を口にしない
  3. 真の酒落者は、自分の見せ方を知っている
  4. ケチだ細かい夫は妻に捨てられる可能性高い
  5. 人望のある人は地位は高くても腰が低い
  6. 自分を客観視できる能力が大切
  7. 向上心を持っている人は成功する
  8. 先入観をもたない
  9. 無意識のしぐやや動作は本音の宝庫

第一印象に騙されない

第一印象では、好みで人を判断してしまいます。

自分の好みだと、自分が思い描く人物と照らし合わせてしまいがちなので、気をつけましょう。

成功する人は、不平や不満を口にしない

生きていると誰でも、文句の一つも言いたくなるのが普通です。

成功する人の共通点は、不平や不満を言わないこと。

人望のある人は地位は高くても腰が低い

人望のある人は、どんなに地位が高い人や家柄がよくても誰もが相手と同じ目線で話せるんですよね。こういう方は話題も豊富で話していても楽しいんですよね。

 

ケチで細かい夫は妻に捨てられる可能性高い

妻に捨てられる男に共通する事は、ケチで細かい人なんだそうです。

具体的にいうと、自分の趣味に異常に没頭する人。

趣味に使えるお金なんてそんなにもかかりません。収入の2割以下といったところでしょうか。けれども、何かの収集や何十万とつぎ込む方は、妻子にお金を使われたくないそうなのです。

また過去にプレゼントしたものをしつこく話してくる男性。あの時、そのプレゼントを買うのにいかに苦労したかを何度も話ようでは、うんざりしますよね。

自分を客観視できる能力が大切

自分の事を客観視できる事はなかなか難しい。

それをあえて、他人と違く視点で物事を見る事が出来るのはとても大切なこと。

自分を知る。日々大切にしたいものです。

向上心を持っている人は成功する

絶対に○○になってやるという強い想いを持つと成功する人が多いそうです。

誰に何を言われたって、へこたれないそんな向上心を持って取り組めるといいですね。

先入観をもたない

先入観を持ってしまうと、相手に会うのがとても難しい。

例えば、面識のない仕事相手に会う時、同僚から「話しづらい人」と聞いてしまうと、これが先入観になってしまったら、もうまっさらな気持ちで相手に会えないんですよね。

自分から相手の事を知ろうという努力を怠るかもしれないし、その結果、仕事の話がうまく進まなかったとしても「相手は話づらい人だから仕方がない」という言い訳が成り立ってしまいます。

けれども実際は、たまたま相手の体調が悪かっただけかもしれません。

初めて会う時にはなるべく、どんな人なのかを聞かずに自分の目で確認する方がいいのでしょうね。

 

無意識のしぐやや動作は本音の宝庫

人は自分の本心や感情とは関係なく表情をつくったり、心にもない事を言ったりできるものです。

どうして騙されてしまうんだろうというようなニュースも毎日のようにありますよね。

 

ただし、どんなに演技が上手くても24時間演じていることは不可能です。

普段の何気ない仕草、クセなどはふとした時にでてしまいます。

 

例えば、職場で上司がやってきて、笑えないようなダジャレを言ったとします。

周りは笑いながら、「うまいですね」とウケているふりをしていますが、よく見てみると貧乏ゆすりをしている人、ペンをもてあそんでいる人がいます。

これはもう早くその場を離れてしまいたいという気持ちが無意識にでている証拠。

 

ふと気をぬいた時にやってしまう「しぐさ」これは本音を見抜くヒントです。

 

人間関係が上手くいく名言集30選・人を見抜くための心得とはのまとめ

人を見抜く力は難しいものですが、大切なことは人に興味を持つことですよね。

出会った人全てに興味をもち心からこの人の事をもっと知りたいと思えたら、その人の事が少しづつ分かる様になるかもしれません。

 

 

あらすじで読む世界の名作【フランス文学9選】

知っているけど、読んだ事がない名作。

結構あるんですよね。

私も何となく内容は知っているけれど、読んだことがなかった。という名作がたくさんあります。

また学生の頃読んだ感想と大人になった今読む名作は感じ方がかなり変わると思います。

そんな名作のあらすじをご紹介します。

あらすじを読んでみて興味があれば実際に本をとり、大人になった今どう感じるか読んでみてくださいね。

 

フランス文学

レ・ミゼラブルヴィクトル・ユゴー

19世紀フランス。

家族を養うため、たった1つのパンを盗んだ罪で19年間投獄されたジャンバルジャン

仮出獄した彼は、心を入替えようとするも…

生きること、愛することとは?

悲惨な状況の中でも必死に強く生きる人々の姿が描かれています。

 

女の一生:モッパーサン

修道院で教育を受けた世間知らずの貴族の娘ジャンヌ。
夢見がちな彼女の将来を待っていたのは…
ジャンヌの波乱に満ちた生涯を描いた小説。
 

ボヴァリー婦人:フローベール

田舎の平凡な生活に飽きた若い主人公エマ。

自由で煌びやかな世界に憧れやがて落ちぶれていってしまう…

世の中は自分の思うようにはいかないものです。

 

フィガロの結婚ボーマルシェ

多くの名作は心苦しい結末が多いのですが、こちらは楽しいドタバタ劇。
フィガロとスザンナは結婚を目前にして気持ちが弾んでいます。
しかし、2人の雇い主のアルマヴィーヴァ伯爵はスザンナを自分のものにしようとたくらむのですが、それに気づいたフィガロはどうやって、阻止するのでしょうか?
 


狭き門:アンドレ・ジッド

父を早くに失ったジェロームは、少年時代の夏を叔父のもとで暮らすようになります。

そこで知り合った従妹のアリサと出合い、恋をします。

そしてアリサもまたジェロームを想うのですが…

愛とは?愛するとは?

幸福を求めすぎた2人の行く末は?

 

カルメン:メリメ

1820年スペイン。

タバコ工場で働くジプシーのカルメンと、竜騎兵ドン・ホセとの運命的な恋物語

ドン・ホセは、美しいカルメンの挑発に惑わされ…

うーん、どの時代も女は怖すぎる。

 

ペスト:カミュ

フランスの植民地アルジェリアのオラン市をペストが襲う。

孤立状態となった中で、必死に戦う市民たち。

人は絶望の状態に陥った時どう感じどう生きるのか。

 


ゴリオ爺さんバルザック

自身が働いて築いてきた全財産を甘やかして育った2人の娘に吸い取られ、最後に彼の元に残ったのは何だったのでしょうか?

 

 


赤と黒スタンダール

主人公のジュリアンは貧しい青年ですが、その才智と美貌で社会の頂点を目指していきます。

エネルギーに満ちあふれたジュリアンですが…

 

 
 

今回はフランス文学をご紹介しました。

 

名作を読むということは、その作品の作られた時代背景を知ることが出来、作者やその国や時代の価値観を知る事が出来るということです。

 

そして何よりも大切なのが、その作品を読んだ人が「人生経験を積むことが出来る」という事だと思います。

 

大人になった今、自分の人生を生き「もっと早くに知っておけば良かった」という本がたくさんあります。それでも「今」だからその作品の意味が分かる本もあります。

 

あらすじだけでは、到底計り知れない名作ですが、あらすじをきっかけに、読んでみたいと思える名作と出会えたら嬉しいです。

 

クラスの交友関係を相関図にしたら【蹴りたい背中】 綿矢りさ

新学期が始まる季節はドキドキですよね。

ワクワクもあるけれど、心配の方がずっと大きい。

担任の先生がどんな先生に当たるとか、仲良しの子と同じクラスになれるかとか。

 

特に修学旅行がある学年は、男女問わずとても大切なクラス替えでもあります。

 

今回読んだ【蹴りたい背中】の主人公は、高校に入学してから2か月経っても新しいクラスになじめません。

 

理科室で独りつまらなさそうに、覚めた目でクラス全体を見ている主人公の心の内を描いている所から物語は始まります。

 

 

あらすじ

高校に入ったばかりの“にな川”と“ハツ”はクラスの余り者同士。臆病ゆえに孤独な2人の関係のゆくえは……。世代を超えて多くの読者の共感をよんだ第130回芥川賞受賞作。

蹴りたい背中 :綿矢 りさ|河出書房新社

作者

綿矢 りさ (ワタヤ リサ)
1984年生まれ。2001年『インストール』で文藝賞を受賞しデビュー。04年『蹴りたい背中』で史上最年少で芥川賞受賞。著書に『かわいそうだね?』(大江賞)、『生のみ生のままで』(島清恋愛文学賞)など。

蹴りたい背中】の感想

思っていたよりも短くて一気に読めました。

主人公のハツは、高校1年生。

 

入学式から2か月経った6月になっても未だ友達はいません。

 

理科室で先生が言った「適当に座って5人で班をつくれ」

 

「適当に」←簡単に言うけれど、これって友達がいない子だったり、6人の偶数メンバーだったり人数的に離れ離れになりにくい時ってややこしいんですよね。

誰が離れるか?みたいな感じで。

 

そんな時始まる「誰が行くか」の探り合い。

笑顔だけど、顔は引きつっている緊張感。

 

空気が読める優しい子は、「私が行く」ってサッと席を譲ったりしてくれるので、その場は平和に収まりますが‥

 

譲ってくれた子はどこかで(私が我慢すれば)って自分を抑えているかもしれないし、(あの子がいけば良かったのに)って思われているかもしれないし、微妙な空気感だったりするんですよね。

 

せっかく必死に作り上げた?(かもしれない)出来て間もない仲良しグループから、ほんの少しの時間でも引き離されるのは、誰だって嫌ですよね。

 

仲いい(?)メンバーから離れるのって。

 

なんだそんなことで。って思われるかもしれませんが、これって特にまだ出来立てのグループにとっては、大切な事なんじゃないのかなあ~なんて思います。

 

先生は何にも思っていないのかもしれませんが、ここは誰となっても文句がでない「出席番号順」とか「くじで決める」とかして欲しいよねぇ~と思いました。

 

そんなクラスの「余りもの」となった主人公が持て余る時間でクラスを観察し、クラスの交友関係を相関図にして書けるかも?という所がとても興味深かったです。(実際には書いていませんが)

 

クラスの相関図。

 

考えた事なかったなぁ。

 

実際に考えたらちょっと怖い気がします。

 

主人公のハツは結構観察力があるから、表面上だけではなく、クラスの子達のしぐさや態度をじっくり見ていて、彼らが無理をしているのか本当に会話を楽しんでいるのかどうか?でサクサクと相関図を書いていきそうで怖い。

 

職場でも表面上ではとても仲良く見えるのに、実際は違うかったって事今までにありましたし、信じていて裏切られたって事も聞いたりしました。

 

大人になっても人間不信になる騙し合いみたいな付き合いもあるのだから、小さな学校の世界ならなおさらなのかもしれません。

 

中学生や高校生の時の同じグループの中でも沈黙がとてつもなく怖かったり、何か話さないとって必死になったり、話さなかったらそれはそれで、つまらない子って思われないかとか。思春期の子達にとってやる事なす事全てが重要になってくるのかもしれません。

 

居場所がない教室。

 

中でも1人でいるお弁当の時間はとてつもなく長く感じる主人公。

 

主人公のハツには中学からの友人絹代がいるのですが、絹代は他のグループとの交友を優先してしまいます。

 

そのため、ハツは毎日1人でお弁当を食べる事になるのですが、「1人で孤独を選ぶ」のと「誰もいないから1人で食べる」とは全く違うんですよね。

 

それでもいかに自分から「孤独を選んだ」というふうに見せかけるために、窓の外を見ながら、お弁当を食べる習慣になりそうな時に、クラスの男子から「クーラーの解禁だから窓を開けて食べるのを辞めてくれる」と上から目線で言われてしまいます。

 

これからまた自分の机で食べるお弁当。

 

人の目線を気にしながら食べる独りお弁当。

 

想像しながら読むと、(自分だったら)とか(自分の子供だったら)と色々考えてしまいます。

 

誰だって、自分が一緒にいて心地よい友人と一緒に楽しいお弁当時間にしたいですよね。

 

こういう本を読むと、親の私も(楽しく過ごせてるかな)と子供が毎日楽しく学校生活を送っているのかと心配になります。

 

私は友達が多い方ではありませんでしたが、気の合う友人と一緒にご飯を食べて楽しく過ごすことが出来ましたが、友達が休みだったりするとなんだかその1日がとても長く感じた様な記憶があります。

 

作者はそんな主人公の心の奥の気持ちをとても想像しやすい表現で書いていたので、読みやすかったです。

 

また主人公と同様、男子の余りものとなった「にな川」とふとしたことがきっかけで、主人公ハツと話すようになります。

 

一緒にいてるとハツが「にな川」を蹴りたい気持ちにかられるのですが、ここは読者がどう捉えるか「にな川」に対する主人公の何故蹴りたくなるのかは人それぞれなのかもしれません。

 

最後にハツの気持ちこれって分かる気がします。

 

私は、見ているようで見ていないのだ。
自分の内側ばっかり見ているから、何も覚えていない。学校にいる間は、頭の中でずっと一人でしゃべっているから、外の世界が遠いんだ。

 

高校卒業から何十年も経った今、大人になって色んな思いがあって読んだ本になりました。

高校生は若いなぁ。若いってやっぱりいいなぁ~と思ってしまいました。

 

 

クララに決めて良かった【クララとお日さま】あらすじとネタバレ感想

自分の子供に人工頭脳を搭載されたAF(Artificial Friend)を親友にしますか?

それとも、もっと…

読みながら、「ミーガン」や「本心」も思い出しました。

 

どれもAIをテーマにした作品ですが、機械が「心」を持つというのは私達にとってどういう事なのかを考えさせられます。

 

 

作者

サー・カズオ・イシグロ(Sir Kazuo Ishiguro OBE FRSA FRSL、日本語: 石黒 一雄、1954年11月8日 - )は、イギリスの小説家、脚本家。長編小説『日の名残り』で、1989年にイギリス最高の文学賞とされるブッカー賞を、2017年にノーベル文学賞を受賞した[2]。日本の長崎県で生まれ、1960年に両親と共にイギリスに移住した。

カズオ・イシグロ - Wikipedia

 

【クララとお日さま】のあらすじ

人工知能を搭載したロボットのクララは、病弱な少女ジョジーと出会い、やがて二人は友情を育んでゆく。愛とは、知性とは、家族とは? 生きることの意味を問う感動作。

クララとお日さま | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン

クララに決めて良かった【クララとお日さま】あらすじとネタバレ感想

第1部

物語は1部から6部まで。

1部は人工知能が搭載された主人公の「わたし」クララが店頭の中から見える様子から始まります。

読みはじめはAFが何かが分からないのですが、Artificial friend(人工友達)という意味でクララやその他のAFはお店で売られている商品なのです。

1部はクララとジョジーの出会いからクララがジョジーに選ばれるまでのお話です。

クララはショートヘアで、浅黒くて、服装も黒っぽいフランス人みたいなAF。

旧型のAFですが、他のAF達よりも観察力が抜群で多くを学べるAFでした。

 

クララは商品の代表として窓際に並べられ、まだ購入されていなくても毎日外を眺めながら多くの事を日々考え学んでいきます。

 

そんな時ショーウインドウ越しから見つめるジョジーと出会います。

ジョジーはクララを気に入り、必ずクララを購入すると約束するジョジー

 

けれども、その日からジョジーは姿を見せないのでした。

 

密かにジョジーを待つクララでしたが、店長の「子どもの約束はきまぐれ」という言葉に傷つきます。

 

それでもある日ジョジーが現れて、大切に思っていたとクララを選びます。

 

第2部

ジョジー家の様子です。

ジョジーの両親は離婚していて、母親と家政婦のメラニアさんがいます。

 

ラニアさんはぶっきらぼうですが、ジョジーの事をとても大切に思っています。

 

ジョジーの部屋から見る景色でクララが気になったマクベインさんの納屋は、のちのちとても重要になってくるのですが、後半クララがジョジーを想う気持ちはとても愛情深いものがありました。

またジョジーの友人リックとの出会いも第2部であります。

ジョジーの幼なじみで親友のリックですが、人間社会の格差についても徐々に描かれています。

第3部

ジョジーの亡くなった姉サリーとの思い出があるモーガンの滝へ行った後のジョジーの態度やその母親のぎこちない感じがAFであるクララが察する所はまるで人間のようです。

日々衰弱していくジョジー

リックとジョジーのやりとりを聞きながら、2人の邪魔をせずジョジーにとって最良とは何か?を常に考えながら側にいるクララは素晴らしいと思います。

こんなに忠実で学習していくAFが今後出てくると思うと、何が良いのか悪いのか正直分かりません。

相性が良いAFがいれば不良のAFも出てくるからです。

少なくともクララはジョジーにとっては最高の親友であるという事は分かります。

 

第4部

物語の中で「向上処置」と呼ばれるものがでてきます。

この物語の時代でも格差があり、ジョジーに親友のリックは「向上処置」を受けていないので、才能があっても、大学進学は確率的に難しくなっています。そのため、「向上処置」を受けていないものは、子供達のいじめの標的にもなっています。

 

「向上処置」を受けた者は、安定した生活を保障されているようです。

ただし、「向上処置」はかなりお金がかかること、場合によっては深刻な病気になってしまう事などデメリットもかなりあるようです。主人公のジョジーもその一人です。

 

愛する我が子の将来を願う親としての選択は胸が張り裂けそうなくらい非常に難しいものだと思います。

 

第5部

ジョジーの病気が重症化していく姿を見たクララはある決心をします。

クララは大切なジョジーをどうすればいいのか常に考えていて、お日さまに助けを求めます。

そのひたむきなクララの姿は、ジョジーを想う気持ちでいっぱいでまるで本当の人間の様な感じに思いました。

 

第6部

成長したジョジーが大学へ行く日と同時に役目が終わってしまったクララ。

 

商品として都会の店頭に置かれ、ジョジーと共に過ごした田舎での暮らし、ジョジーの交友関係が広がったため、自ら移動した物置小屋。そしてどこにいても、クララは観察する事、学ぶ事を怠りませんでした。

最後は、役目が終わったAF達がいる廃品置き場に置かれています。

 

そしてかつての店長さんとの出会いとジョジーとの日々が最高に幸せだったことを伝え別れる所で終わります。

 

ミーガンは試作品ですが、クララと同じようなAFだと思います。

こちらは、暴走してしまいますが…

他にもブレードランナーやザ・クリエイター創造者もまた同じAIについて考えさせられる映画でしたね。

ザ・クリエイター創造者のあらすじ

人類とAIの戦争が続く世界、元US特殊部隊のジョシュアは人類を滅ぼす兵器と呼ばれる純粋無垢な超進化型AIの少女〈アルフィー〉の破壊を命じられる。しかし彼は“ある理由”から、アルフィーと共にクリエイターを探す旅に出るが…。争いの果てに、ふたりが見つけた真実とは?

ザ・クリエイター/創造者|映画/ブルーレイ・デジタル配信|20世紀スタジオ公式

 

 

jibunnnoikikata.hatenablog.com

 

人の心、AIの心、今後の事を考えると切ないような、怖いような複雑な気持ちがからみあって、何とも言えない気持ちになりました。

 

 

【ミーガン】のあらすじ

おもちゃ会社で優秀な研究者として働くジェマは、人間のようなAI人形「M3GAN(ミーガン)」の開発を行っている。ある日、交通事故によって両親を失い、孤児となってしまった姪のケイディを引き取ることになったジェマは、子どもにとっては最高の友だちに、親にとっては最大の協力者となるようにプログラムされたミーガンに対し、あらゆる出来事からケイディを守るように指示を出す。だがその行動がやがて、想像を絶する事態を引き起こす。

M3GAN/ミーガン:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画

【本心】のあらすじ


舞台は、「自由死」が合法化された近未来の日本。最新技術を使い、生前そっくりの母を再生させた息子は、「自由死」を望んだ母の、<本心>を探ろうとする。
母の友人だった女性、かつて交際関係のあった老作家…。それらの人たちから語られる、まったく知らなかった母のもう一つの顔。
さらには、母が自分に隠していた衝撃の事実を知る── 。

『本心』特設サイト|平野啓一郎

 

jibunnnoikikata.hatenablog.com

 

 

カズオ・イシグロの本

遠い山なみの光

故国を去り英国に住む悦子は、娘の自殺に直面し、喪失感の中で自らの来し方に想いを馳せる。

戦後の長崎で、悦子はある母娘に出会った。

あてにならぬ男に未来を託そうとする母親と、不気味な幻影に怯える娘は、悦子の不安をかきたてた。だが、あの頃は誰もが傷つき、何とか立ち上がろうと懸命だったのだ。淡く微かな光を求めて生きる人々の姿を描くデビュー作。

王立文学協会賞受賞作。

 

浮世の画家

戦時中、日本精神を鼓舞する作風で名をなした画家の小野。多くの弟子に囲まれ尊敬を集める地位にあったが、終戦を迎えたとたん周囲の目を冷たくなった。弟子や義理の息子からはそしりを受け、末娘の縁談は進まない。小野は引退し、屋敷に籠りがちに。自分の画業のせいなのか…老画家は過去を回想しながら、自らの信念と新しい価値観のはざまに揺れる。

 

日の名残り

品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された外交会議の数々。

過ぎ去りし思い出は胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞

 

 

充たされざる者

世界的ピアニストのライダーは、あるヨーロッパの町に降り立った。「木曜の夕べ」という催しで演奏する予定のようだが、日程や演目さえ定かでない。ただ、演奏会は町の「危機」を乗り越えるための最後の望みのようで、期待は限りなく高い。

ライダーはそれとなく詳細を探るが、奇妙な相談をもちかける市民たちが次々と邪魔に入り…

実験的手法で悪夢のような不条理を紡ぐ問題作。

 

 

わたしたちが孤児だったころ

上海の租界に暮らすバンクスは、十歳で孤児となった。貿易会社勤めの父と反アヘン運動に熱心だった美しい母が相次いで謎の失踪を遂げたのだ。

ロンドンに帰され寄宿学校に学んだバンクスは、両親の行方を突き止めるために探偵を志す。やがて幾多の難事件を解決し名声を得た彼は、戦火にまみれる上海へと舞い戻る。

 

 

わたしを離さないで

介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく…

 

 

 

忘れられた巨人

遠い地で暮らす息子に会うため、長年暮らしたムラをあとにしたアクセルとベアトリスの老夫婦。一夜の宿を求めた村で少年を託された二人は、若い戦士を加えた四人で旅路を行く。竜退治を唱える老騎士、高徳の修道僧・・様々な人に出会い、時には命の危機にさらされながらも、二人は進んでいく。

 

 

【でんでんむしのかなしみ】涙が出てくるあらすじと感想 新美南吉


自分自身について考えてみたことがありますか?

 

あなたの個性・性格と家族環境から知らず知らずのうちに信じ込んでしまった価値観があるとしたら。

知らず知らずのうちに自分自身の経験を過信してしまっているとしたら…

 

自分自身のさみしさと向き合ってみる。

 

自分の背負った寂しさを認めてみる。

 

自身に「問いかける」

 

あなたのその苦しみとは、どんな原因から起こっていると思いますか?

 

人生の「根っこ」の部分。

 

自分が自分として生きていく根っこの部分をこの本から学べる気がしました。

【でんでんむしのかなしみ】のあらすじ

ある日、でんでんむし(カタツムリ)は「自分の殻の中には【悲しみ】しか詰まっていない」ことにうっかり気付いてしまいます。

 

そんなでんでんむしは「もう生きていけない」と嘆くのです。

 

そこで別のでんでんむしにその話をするのですが「私の殻も悲しみしか詰まっていない」と言い、また別のでんでんむしも同じ事を言うのでした。

 

そして最初のでんでんむしは

「悲しみは誰でも持っている。自分の悲しみは自分で堪えていくしかない」と嘆くのをやめたのでした。


でんでんむしのかなしみの感想

誰もが「でんでんむし」なのでしょうね。

この本を読むと自然に涙があふれてきます。

 

周りからどれだけ幸せそうに見えても、完璧な人はこの世にいません。

人には人それぞれの「悲しみ」があるのです。


それは、自身だけにしか分からない「苦しみ」や「悲しみ」です。

 

人はどれだけ悩み、苦しんでいるかを想像することは出来ても、自身が体験している苦しみには到底及ばないものだと思います。

 

それがとても大切な友人や、長年一緒に過ごしてきたパートナーや親であっても完全に理解する事はできないのだと思います。

 

どれだけあなたの話を聞いたとしても、あなたを助けたいと思ったとしても…

 

あなたにしか分からない「苦しみ」や「悲しみ」

 

そして辛いのはあなたの感じている悲しみ、不安や恐怖は誰にも肩代わりする事はできないという事です。

 

無力さを感じます。

 

それでも、あなたの苦しみや悲しみを理解したいという人は必ずいます。


あなたがいるから悲しみや苦しみを乗り越えているという事を忘れないでほしいと思います。

 

そして一番大切なのは、あなた自身がこれからどう感じるか。


あなたの気持ちです。

 

性格を変える事はとても難しい。

頭では理解できていても、変える努力をしてもそう簡単に変わる事は難しい。

 

物事を○○だと決めつけるのではなく、沢山経験をして物事の味方を変える事が大切なのだと思います。

 

世の中の正解、不正解を気にするのではなく、あなたの人生においてあなたが感じた事が正解なのだと思います。

 

あなたはもう充分に頑張っています。

 

誰がなんと言おうと。

 

遠慮なんかしなくていい。

あなたはあなたのままでいい。

焦らずに、ゆっくりと自分を大切に過ごしてください。


心から大切に思っています。