老後に仕事、子育てやハラスメント等々…
問題は山積みなのに、税金は無駄使いされるばかり。
この世の中、どうなっていくの???
老後の生活は、田舎でのんびりのはずだった…
霧島郁子の老後はいかに!?
【あきらめません】内容紹介
共働き&ワンオペ育児を経て、定年退職を迎えた霧島郁子。夫の田舎へ移住し悠々自適な生活を送るはずが、待っていたのは閉鎖的な地域社会のしがらみばかり。失意の郁子を救ったのは、老齢の女性市議・市川ミサオだった。彼女の後押しで市議会議員に立候補することになった郁子の運命は!? 痛快選挙小説誕生!
【あきらめません】作者 垣谷美雨
2005年「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。誰もが直面する社会問題をユーモア溢れる筆致で描く作品が多い。
著書に『老後の資金がありません』『結婚相手は抽選で』『女たちの避難所』『定年オヤジ改造計画』『うちの父が運転をやめません』『懲役病棟』『墓じまいラプソディ』など多数。エッセイに『行きつ戻りつ死ぬまで思案中』がある。
【あきらめません】あらすじとネタバレ感想
主人公の霧島郁子(きりしまいくこ)は60代。
結婚して三十数年、定年まで正職で経理事務として働き、かつワンオペで3人の娘を育て、節約を重ねて住宅ローンも返済し終えます。
夫との仲は良好で、ようやくゆっくりセカンドライフを楽しめると思っていました。
そんな時夫が、夫の実家がある田舎へ移住したいと言いだします。
田舎暮らしも悪くないと納得したものの、実際に行ってみると、閉鎖的な地域社会としみついた男尊女卑で時代遅れな現実を目の当たりしてしまい、都会暮らしに慣れている郁子は、早々に田舎暮らしに失望してしまうのでした。
郁子の計画では田舎で野菜作りや花に囲まれ、油絵を描き、、と想像していましたが、人には向き不向きがあるようで郁子にとって、それらは楽しくもなんともなかったのです。
仕方なく図書館に本を借りに行くのですが、田舎町に似合わない大きすぎる図書館内で迷子になり、併設されている市議会の傍聴席へと入ってしまいます。
そこで女性議員・市川ミサオ(いちかわみさお)に出会い、強烈な後押しで市議会議員に立候補するよう勧められます。
相手が誰であれ、物事に対して間違っていると思えばハッキリ物を言う郁子がカッコいい。
そんな郁子の性格を見抜いているミサオは、市議会議員を何度も勧めるのですが、郁子は突っぱねます。
ミサオの、近くまで来たと突然のようでいて、お茶菓子を準備していたり、誘われたら靴を脱ぐのが早かったり(家に上がる気まんまん)あの手この手で勧めてくるのが面白かったです。
結局周りの後押しや自身も思うことあって、ミサオの勉強会に参加し、立候補する事になります。
ミサオは元高校の教師だけあって、頭の回転も早く教養もあるので、どんなジャンルにも対応可能で、そんな人と勉強会出来るのが羨ましく思いました。
立候補してからの郁子は持ち前の性格から次々と行動に移していきます。
2度目の立候補で当選となり、議員の仕事をするのですが、低レベルの世界に取り込まれてしまい精神的に落ち込んでしまいます。
「ああいう人らは自分で実感せん限りピンと来んのだわ。教養っちゅうのは自分を客観視できるっちゅうことやからの。進歩のないオヤジ議員を動かすのは難儀だわ。ほんやけど、ようやないマトモな男性議員が年々増えて来とるのも事実なんだわ。」
教養があるというのは、自分を客観視できること。
日々勉強になります。
それにしても、人って付き合う人でこんなにも変わってしまうのかと思う事が多々あります。
良い人達との出会いを大切にしたいものです。
ずっと義父や夫に言いたい事を言えずにいた女性たち。
義父を反面教師として育った夫が、妻にいいます。
自分から犠牲になりに行くな。我慢を重ねて恨みを持つな。
良い旦那さんだなぁと思います。
もし、今でも我慢をしている方がいるなら、この言葉を思い出してほしいと思います。
読んでいる最中はイライラしますが、最後はやっぱりスッキリします。
とうとう郁子は市長選にまで立候補することに。
郁子を取り囲む女性たちもだんだんと強くなっていきます。
実際に仕事をしながら家事や育児をしている女性目線ならではの政治。
人々が住みやすくなるような街作り。
郁子のような女性がもっともっと増えるといいなぁと心から思いました。