カバ子の日記

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【かきあげ家族】あらすじとネタバレ感想 中島たい子 光文社

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自分の家族のこと、どこまで分かっていますか?

一番身近にいる人だけど、分かっているようで分からないのではないでしょうか。

この本の主人公もそうです。自分の事も自分の家族の事もわからない!!

自分とその家族と向き合う勇気をくれる笑いと涙の物語。

【かきあげ家族】あらすじ

スランプ中の老映画監督・中井戸八郎のもとに、仕事をクビになった長男と離婚した長女が出戻ってきた。家にはひきこもりの次男もいて、図らずも十数年ぶりに一家集結してしまう。そんな中、家宝である世界的名監督の遺稿がネットオークションに出ていることが発覚する。家族の誰かが出品したとにらんだ八郎は、改めてそれぞれと向き合ってみようかとするが……。

かきあげ家族 中島たい子 | 光文社文庫 | 光文社

 

【かきあげ家族】家族構成

中井戸八郎

この物語の主人公。

コメディ映画監督の中井戸八郎65歳。

絶賛スランプ中。映画監督ということもあり、こだわりも多い。

 

中井戸百合子

元女優。中井戸八郎の妻。

細身でショートカット。60代後半にしてはプロポーションも維持し、可愛さもあり。

 

中井戸章雄

新潟で家庭を持つ長男の章雄。44歳。

仕事を辞めて1人で実家に戻ってくる。

 

中井戸真太郎

ひきこもりの次男。36歳。

 

田中美子

長女。33歳。離婚し、10歳の吾郎を連れて実家に出戻り。

 

田中吾郎

美子の子供。元気ではあるが不登校。10歳。

 

【かきあげ家族】あらすじとネタバレ感想 

人生は山あり谷ありです。

まるで人生ゲームのよう。

誰が見ても幸せそうに見える人でも、必ず何かあります。

それが、いつあるのかは人それぞれで、人生の最初に壁にぶち当たる人もいるし、40代半ばに当たる人もいる。

出来れば幼少の頃、小さい壁に何度もぶつかる方が個人的には良いのではないかと思います。

社会に出てからデカい壁にぶつかるとものすごくしんどいからです。

物語の家族もそれぞれに悩みがあるようです。

 

仕事人間だった八郎も子供の事を想って発していた言葉は、あまり意味がなかったようです。

むしろ、それがイラっとさせていたので怒りが爆発してしまいます。

 

映画館にて

本来であれば、自分が撮ったはずであろう映画を孫の吾郎の映画館のスクリーンで観ている八郎。シリアスな映画ではなくコメディタッチの映画を今まで撮ってきているのもあってか、今回監督を降ろされたことでショックを受けています。

 

消えた家宝

そんな時、八郎を慕う息子と同年代の大手映画会社の若手プロデューサー森陽一(もりよういち)が自宅に訪ねてきます。

 

理由は八郎が映画界の巨匠黒川治(くろかわおさむ)が亡くなった時に譲り受けた『故黒川治監督の絶筆脚本』がネットオークションに出品されているという。

大切?に書庫(今では物置になっている)に保管されていたはずのお宝が盗まれた??いや、犯人は家族の中の誰か??

 

全員集合

自分のクビが危ない状況の八郎でしたが、同じ頃長男も仕事をクビになり戻ってき、長女も離婚して実家に出戻り、もともとひきこもりの次男もいるのでまさかの家族全員勢ぞろい。

もしやこの中に犯人が!?

 

八郎は今まで向き合ってこなかった家族と向き合うことになります。

 

けれどもそう上手くはいきません。

仕事をクビになって家族に黙って、家出してきた息子には、

「家族に黙ってるのがわからん。かみさんは、そりゃ怒るだろうよ。

それを落ち着かせる、安心させるために、人間にはコミュニケーション能力ってものがあって口はそのために使うものだ。」

「一緒に暮らしていて、そんな大事な事を教えてくれない方が、かみさんからしたら傷つくと思うがね」

 

いやみを言う八郎に息子は、つぶやきます。

「そう、口は人を傷つけることも出来る」

 

離婚した美子を励ます会から帰ってきた美子は、愚痴ります。

「わかるよ、気持ちは。

でもどうやって解決しようっていう話にはならないの。『お前は間違ってない』って言って欲しいだけ。ってか離婚した私の話を聞いてあげる会じゃないの???間違ってるよ。すべてが!!

親も世間も自分も正しいものなんてね、この世にはないの。

あるのは明日という現実。

私は1人でこの子を育てなきゃいけないの」

そういいながら、無駄な時間とお金を使いたくないと早く帰ってきたのでした。

誰もが、自分の話をちゃんと聞いて欲しいんですよね。

なのに、自分が一番可哀そうなんだと認めてもらいたくて、それぞれが話してる。愚痴大会になってしまう。

 

そんな心が傷ついている状態の中、八郎は家宝の脚本が紛失したことを告げ、しかも犯人は家族の中にいるかもとつい言ってしまいます。

 

それを聞いた美子はブチ切れて、八郎に偉そうに正論ばっかりいうけれど、物事を一方方向からしか見ていないのはお父さんだと怒りをぶつけます。

 

どこの家庭にもあるんじゃないのかなぁ~。

正論を言って追い込んでしまうこと。

正論を言われた相手は、返せないんですよね。

だから(もういいや)ってなってしまう。

親はいつだって子供の事を想って言っているのは分かってる。

けれども、正論じゃなく、「自分」を見て欲しいんですよね。

私も娘に言われたことがあります。

「向き合ってないクセに」って。

あの時はズキーンってきましたが、向き合っている自分がいると思っていたので、よく分からないんですよね。ちゃーんと考えないと。

向き合っているつもりだから。

 

っでよくよく考えてみるんですけど、これまたなかなか難しいんです。

同じ家族だからこそ、コミュニケーションを取らないといけないのに、家族だからコミュニケーションを取っているつもりになって、なかなか取れていないのが現実なんだと思います。

何も言わなくて通じるんじゃなくて、一番の理想は、お互いが感情をぶつけ合って、言いたい事言うけれど最後は元に収まるって言うのが一番なんだと思います。

 

忙しいとつい、正論を言って「はい、おしまい」ってなってしまう事も、よーくわかるんですけど、つい言ってしまう正論。

学校の先生がやるやつですね。

なんの解決もなっていないんです。

 

人生いろいろ親だって分かんないよ

この本を読みながら、「人生いろいろあるよな」と改めて思ってしまいます。

 

親だって、分かんないんですよね。

特に第1子なんて初めての子育てだし、子供と一緒に成長するのに、正解もどれが正解なのか分からないのに、一生懸命やっている事を否定されたり、明後日の方向に行ってしまってたり。

 

自分じゃないから、相手が何を考えているか分からないのに、「家族だからわかるでしょ。」みたいに言われたり。。(わかるかっ!!)

 

演じてる自分たち

かきあげ家族は母親が元女優という事もあって、母親を演技しているのか本当の自分なのか分からないという場面があります。

 

女優じゃなくても、そう思う事っていっぱいあると思います。

 

ママ友の前、先生の前、子供の前、夫の前色々。ぜーんぶ演技してるんだと。

心の中では、(あんたなんか大っ嫌い)って思っていても子供がいるから表面上はニコニコ笑顔で。

それもこれも全部子供の為。そう思っている母親はこの世にどれだけいるのだろう??

なーんて考えてしまいます。

 

「本当の自分」なんてものは本人でも分からない。

 

誰もが悩んでいる事。

 

誰一人が同じではないし、まして家族でも違う。

それが、集団になって。。となるとますます分からなくなりますが、やっぱりそれでも向き合って話すと、見えてくるものがあります。

 

どの本にも書いてある事はどれも同じ、「今を大切にする」

 

それを自己啓発で読むのか、小説で読むのか、映画で観るのか、方法は違いますが、沢山の方向から見て読んでそして自分で考えて成長していく。

 

頭では分かっていても人生の壁にぶち当たった時に、初めて分かるものです。

私も以前に読んだ本を大人になってから読み直したり、新しい本を読んで新たな発見をしている最中です。

 

物語のラストは今後どうなるかは分かりませんが、お互いが本音を出し合い向き合っていきます。

 

私もこの歳になっても、まだまだ分からない事ばかりですが、今を生きるということ、向き合うという事で時間がかかっても、人は信頼を取り戻せるのではないかと思います。

今が一番若い!!

 

やはり「今」を大切に生きたいと思っています。