カバ子の日記

生きていてくれるだけで嬉しい

あの子も悩んでたんだ【夜明けのはざま】を読んで 町田そのこ ポプラ社

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以前町田その子さんの【夜明けのはざま】を読みたいと書きました。

 

本の帯にはこんなメッセージが書かれてあります。

 

せめて、自分自身には嘘をつかずに生きていきたい。

 

死を見つめることで、自分らしく生きることへの葛藤と決意を力強く描きだす、本屋大賞受賞作家、新たな代表作!

 

今回は【夜明けのはざま】の本を読んだ感想です。

あらすじ

舞台は、地方都市にある家族葬専門の葬儀社「芥子実庵(けしみあん)」。葬祭ディレクターの佐久間真奈は仕事にやりがいを感じていたが、恋人からのプロポーズで、「結婚するなら、仕事を変えて欲しい」と言われてしまう。

そんな時、衝撃的な知らせを受ける。

一人娘の結婚について悩むシングルマザーや昔の恋人を失った主婦、いじめを受けた過去を持つ葬儀社スタッフなど、さまざまな痛みを抱えた人々が「死」と向き合う5篇の連作。

 

作者:町田その子

1980年生まれ。福岡県在住。2016年「カメルーンの青い魚」で「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2017年、同作を含むデビュー作「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」を刊行。2021年「52ヘルツのクジラたち」で本屋大賞を受賞。

夜明けのはざま|ポプラ社

 

一章 見守る背中

どんな関係もぶつかり稽古のくりかえしですよ

 

彼・純也からプロポーズされるも、「結婚するなら今の仕事を替えてくれ」と言われた佐久間真奈、31歳。葬祭ディレクターという仕事のやりがいと結婚の間で揺れ動く中、親友の自死の知らせが入る。

一章の感想

家族でのやり取りを見ていると、私はどちらかというと主人公のお姉さんに近い存在なのかも知れません。

 

この本の主人公・佐久間真奈はとても強い人だと思います。

 

もし私が友人から依頼された仕事を出来るかと聞かれると正直分からないけれど、自信を持って出来るとは言い切れません。

 

主人公が考える家族、彼氏や友人に対しての気持ちに母親目線であったり、主人公の歳だった自分と重ねたり、色んな立場からの意見を考えながら読みました。

 

立場が違うと考え方が微妙に違ったりするのが不思議な感じでした。

 

二章 私が愛したかった男

ひとはいつ、大事なことに気づくか分からない。

 

気づけるその日まで、自分なりにもがくしかない。

 

葬儀社「芥子実庵」と契約している花屋で花祭壇を作る仕事をしている千和子の元に、離婚した夫から数十年ぶりに連絡が入る。元夫に頼まれたのは、彼の恋人の葬儀の手伝いだった。

二章の感想

母親の気持ちがよく表現されているなぁと思いました。

 

娘を想う気持ち、子育ての事。

 

そして元夫に対するいら立ち。

 

けれども読み進めていくうちに元夫に対し、私も千和子と同じ様に行動するのでは?とも思いました。

 

自分の価値観のみで人に押し付けるという事は「支配」と同じかもしれないという事。

 

人からすると「なあんだそんな事」でも、本人にとって「重大で大切な事」

 

相手にとって「大切なこと」それを知っているつもりになってしまう所が自分にもあるような気がしました。

 

分かっているつもり。

 

分かろうとしなかった自分。

 

身近にいる人ほどそうなのかもしれない。

 

これって誰にでもあるんじゃないのかな。

三章 芥子の実

自力で見つけたものだけが、万の言葉よりも自分を納得させるものだよ。

 

葬儀社「芥子実庵」に入って3か月目の須田は、偶然中学時代のクラスメイト・伊藤の父の葬儀を担当する。中学時代、須田は伊藤からいじめを受けていた。

三章の感想

大切な誰かの「死」は悲しいものです。

「死」は、誰しもが接する哀しみ、そして恐怖なのだと思います。

 

「死」によって主人公が気づいたものとはなんだったのか?

 

本を読んで気持ちが救われる気がするのは、もしかしたら本の主人公だけではない気がします。

向き合うって簡単?それとも難しい?

人と向き合うってどういうことだろうと考えた時、向き合っているつもりの人って結構いるような気がします。

向き合っていないと感じる態度や状況

・本音で語らない

・自分を出さない

・聞いていない

・空返事

・相手の悪い所を指摘するが、自分は完璧という上から目線

真剣に向き合うということ

・話をする時、話をする時、相手の目をしっかりとみる

・相手の立場になって親身に話を聞く

・相手が話をしている時、返事をするのではなく、理解しながら聴く

・相手が返事を求めている時、考えながら話す

・返事は分かりにくい言葉ではなく、具体的な言葉で話す

・話題を変えない

・相手が話終わったら、オウム返しで相手の言った事を復唱する

(→あなたが言った事は○○ことだよね)

 

私が自分と向き合った時分かっているようでわかっていない事って沢山あります。

 

家族や友人は他人なので、なおさらです。

 

この本をきっかけに、もっと自分や家族と向き合いたいと思いました。

四章 あなたのための椅子

ぼくたちはあまりにも、明日に任せすぎている。

 

夫との関係に悩む中、かつての恋人の事故死の知らせを受け取った良子。学生時代をともに過ごし、結婚まで考えていた彼との別れを思い出し、葬儀にかけつけるのだが。

四章の感想
運命

物語に出てくる1人の人物が話す「運命」は私が思う「運命」と同じでした。

 

ローソクのお話も出てきます。

 

少し内容は違いますが、運命があるならば、その運命を全うした方がいい。

 

そう思って私は毎日を過ごしています。

 

 

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五章 一握の砂

あたしはあんまりにも、自分の人生に無責任だったんだと思う。

 

彼・純也との考えの食い違いにより、結婚へのふんぎりがつかない真奈は、純也にある場所へ連れ出せれる。

五章の感想

各章に分けてそれぞれの主人公がいるのですが、その中でも一章で登場する佐久間真奈がこの本の一番の主人公です。

 

彼女が最終的に選択するのは果たして仕事か?結婚か?

 

私だったら?と考えながらずっと読み進めていました。

 

答えはそういった状況にならないと分からないけれど、きっと主人公と同じ立場なら、私は佐久間真奈と同じ選択をするだろうと思います。

 

主人公は強い女性だと思いましたが、私も沢山の経験を積んでなってみないと分からない傷を抱え、少しだけ強くなった気がしました。

【夜明けのはざま】を読んでのまとめ

テーマが「死」なだけに、読んでいると正直とても辛かったです。

 

色んな事を考えたり思い出すから。

 

けれども読まないとって思いました。

 

読んで行くと一気に読んでしまいました。

 

涙がポロポロと溢れ出て、胸がジーンと熱くなりました。

 

生きているだけでいい

 

人生は楽しいばかりではありません。

 

沢山の出来事があります。

 

時には辛い事悲しい事が続いてどうしようもない時もあります。

 

どんなに辛くても夜は必ず明けます。

 

自分が自分でいること。

 

それだけで自分を愛してくれる人は必ずいます。

 

この本を読んで色んな事が重なって辛くもありましたが、背中を押してもらえた気もします。

 

この本の登場人物も悩んでいる人がとても多いです。

 

現実でも多くの人が自身の価値観のみで考え自分の中だけで抱え込んでいる人がとても多いように思っています。

 

もっと誰かに相談してもいいんじゃないのかなぁ。

 

あなた自身の事を家族や友人は必ず側にいて見守っているという事。

 

家族や友人は相談してもらえないもどかしさ、それでも見守るしかない辛さ。

 

力になりたい。

 

きっとそう思っていると思うし、力になってくれる。

 

最初から決めつけないで、とことん話し合うって大事なんだなと思っています。

 

なってみないと気持ちは分からない

本人の気持ちは他人には100%分かりません。

 

以前も今もそしてこれからも。

 

それでも、少しでも理解する事が出来たら…

 

本を読んだり、話し合う事で、寄り添う事で何かが変わるかもしれない。

 

似たような経験をすることや本でその世界を知る事で少しでも力になりたい。

 

この本を読んで、これからも家族や友人、大切な人に寄り添っていきたいと強く思いました。