れんげ荘物語も7弾目。
キョウコののんびりした暮らしが読んでいても心地良いです。
今回のささやかな幸せはどんな日常でしょうか。
【今日はいい天気ですね】れんげ荘物語:あらすじ
幸せは、人それぞれ――
キョウコは自分でも「休みすぎ!」とツッコミを入れながらも、無職のまま、月10万円の生活をのんびり続けています。
ささやかな楽しみを見つけながら。
ロングセラー「れんげ荘物語」シリーズ、第7弾! 書き下ろし長篇(どの巻からでも、お楽しみいただけます)有名広告代理店を早期退職したキョウコは、古いアパート「れんげ荘」で貯金を切り崩しながら自由な暮らし。
近所の花店で元気なチューリップを買ってきたり、お腹周りが心配になってきたので、遠回りして買い物に出かけたり、
「れんげ荘」の元住人・コナツさんの結婚のお披露目会に、久々におめかしして出かけたり。
ネコやイヌ、鳥や花や隣人とのお茶の時間などに心を癒されながら、キョウコは今日も小さな幸せを見つけています。
あのコナツさんが事実婚から籍をいれる事になります。
ささやかな食事会にキョウコも招待を受け参加します。
周りの人間関係が温かいです。
【今日はいい天気ですね】れんげ荘物語:作者群ようこ
1954(昭和29)年、東京都生れ。六回の転職を経て、本の雑誌社勤務時代にエッセイを書き始め、1984年『午前零時の玄米パン』を刊行、独立する。『トラちゃん』『鞄に本だけつめこんで』『膝小僧の神様』『無印おまじない物語』『ネコと海鞘(ほや)』『またたび回覧板』『飢え』『ヤマダ一家の辛抱』『ビーの話』『小美代姐さん花乱万丈』『きもの365日』『平林たい子伝 妖精と妖怪のあいだ』『かもめ食堂』『しいちゃん日記』『ぢぞうはみんな知っている』『おんなのるつぼ』『れんげ荘』『パンとスープとネコ日和』『おとこのるつぼ』『ゆるい生活』『じじばばのるつぼ』『うちのご近所さん』『子のない夫婦とネコ』など著書多数。
【今日はいい天気ですね】れんげ荘物語ネタバレ感想
歳を重ねると内面は顔に出てくる
歳を重ねるにつれて、内面が外側に出てくるというのは本当だと思います。
いじわるな人は顔に(私いじわるなんです)って書いてあるみたいだし、穏やかな人はその人の全身からにじみ出ている気がします。
キョウコやチユキさんも同じことを考えているようです。
キョウコは勤めていたとき、むかつくと自分のデスクで、いくつものグミを口の中に放り込んで、噛みしめていたのを思いだした。味がまじるのはどうでもよく、口のなかでその嫌なやつを潰してやっている気持ちになった。
わたしは無意識に歯を食いしばってきたようで歯医者に行くとガムを噛むか意識的に食いしばるクセを辞めるようにと言われてしまいました。
歯を食いしばると自分の全体重が歯にのしかかる位の力があるので、歯が擦切れてしまうのだそうです。
コナツさんの結婚お食事会
コナツさんの結婚披露の為のお食事会で着ていく服がないことに気付くキョウコ。
義姉に連絡し譲り受けられることになりました。
そんな義姉へのお土産にオレンジ色のバラの花を8本花束にしてもらうキョウコ。
どうして8本なのかなと思っていると、バラの本数には意味があるそうなのです。
8本は「あなたに感謝します」という意味なんだそう。
誰かに花をプレゼントする時は花言葉に加えて本数も決めた方がいいですね。
母と娘と義娘
キョウコは母親から誕生日のプレゼントをもらったことがありませんでした。
誕生日のケーキはあったけれども、それで良しと思われていたみたいです。
そんな自分の娘にでさえ、頑なな態度の母が、義姉にパールのイヤリングをプレゼントしていたのである。キョウコの前で、特別に義姉を褒めることはなかったkれど、善良な彼女に対して、信頼しているのは見ていて明らかだった。俗にいう、嫁と姑の争いがなかったのは、身内としてありがたかったし、それはすべて義姉の性格によるものだった。
キョウコの義姉のような人ってなかなかいません。
キョウコの母親は自分の思う様にならないと不機嫌になる人だったので、義姉は上手く暮らせていたんだと思います。
残念ですが、私はそのような方と未だに出会った事がありません。
食べてみたい食事会のメニュー
毎日健康のため、オーガニック食材で小食にしているキョウコ。
コナツさんの結婚お披露目食事会でたくさんの料理が運ばれてきてびっくりします。
けれどもどの料理も美味しくて、美味しい料理を気の許せる人達と食事するのはいいなぁと思うのでした。
運ばれてくる料理は文章で想像するだけでどれも美味しそうで、メニューをちょっと書き出してみました。
前菜
ぐるりと花が浮き彫りになった白い大きめのお皿に、レバーパテ、きのこのマリネ、サーモンカルパッチョ、ベビーリーフとトマトとゆで卵のサラダ、小さなコロッケ、玉ねぎのソテー
スープとパン
続いて、野菜ときのこのコンソメスープと手作りのパン。ロールパンやナッツ入りのパン、全粒粉のパンが小さな竹かごに入れられています。
蒸し物
金目鯛の蒸し物
メインディッシュ
お皿にマッシュポテトとクレソン、にんじんのグラッセがのせられて運ばれてきます。
メインは牛、豚、鶏肉の焼いたのがドーンと出てきて、好きな物をすきなだけ取る事ができます。
デザート
結婚祝なので、チョコレートプレートにお祝いの言葉が書かれた二段重ねのケーキ、カスタードプリン、バニラとモカのアイスクリーム、フルーツタルトなど全て手作りのスイーツ。
もうこれだけで、美味しそうな感じが伝わってきます。
やっぱり、たまには美味しい料理を大切な人と食べるのは必要だなと思いました。
自分に似合う心地が良い服を着る
キョウコは月10万円の暮らしをしていますが、キョウコ自身がとても心地よく感じています。
勤めていた時は、流行の服を着てヘアメイクもおこたりなく、重要な仕事をこなし、念に何回かは必ず海外旅行をし、女性誌のグラビアに載っているようなものを手にいれることが幸せだと思っていた。しかし今は、いただいたものと、奮発した何粒かの追加のブドウで幸せになれる。
ブランドのスーツを着ていても、いつも服を褒められた記憶はない。会社の女性たちは、とにかく容姿でも仕事でも彼氏でも、少しでも他の女性社員よりも上でいたいと考えるタイプが多かったので、マウントを取るために、それに必要なものを、どれだけ自分の周りに集めるかが重要だったのだ。
私はこれだと疲れてしまいます。私はキョウコと考え方が似ているのですが、似たような考えの人は少数なんだろうなとふと思ってしまいました。
幸せは人それぞれ
結局これに至るのですが、心から幸せと思える生き方をしていける事が幸せだなぁと思います。
どうしてだろう
毎日を幸せに過ごしているキョウコですが、ふとした時に昔の嫌な思い出を思い出してしまうキョウコ。
歳をとると、一昨日食べたものが何だったかがさっと思い出せないくせに、過去のどうでもいいあれやこれやは思い出す。それもだいたいがいいことではないのが腹立たしい。
この気持ち、メチャメチャ分かります。
思い出したくもない嫌な思い出なんて出てこなくてもいいのに、なぜか出てくるんです。なのに、昨日食べたものがスッと出てこない。
私だけじゃなかったんだと思いました。
また、大事にしている食器に限って割れてしまったりする。
そうでもない物は長持ちして、気に入った物が割れたりするんです。
上手くいかないものですね。
そんなことを思いながら読んでいると一冊読み切ってしまいました。
さて、次回はいよいよ第8弾。
2024年1月の書下ろしなので、次回が最新だと思っています。
まだまだキョウコの日常が続きますように…