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【散歩するネコ】れんげ荘物語 群ようこ

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前回は母親が倒れたと連絡があったところで終わってしまったので今回は倒れた母親がどうなったか気になるところです。

心優しいキョウコは母親の具合を心配しつつ、今日も来ないかもしれないブチ猫「ぶっちゃん」を待っています。

 

【散歩するネコ】れんげ荘物語:あらすじ

キョウコは、有名広告代理店での仕事に嫌気がさし、それまで貯金してきたお金から月10万円の生活費で「れんげ荘」でのんびり穏やかに生活しています。

ある日、母親が突然倒れ、救急病院のICUに運びこまれ…

バイトしては海外旅行をしていた隣人で自称「旅人」のコナツさんの将来について相談に乗ったり、いろいろなことがあるものの、ラジオを聴きながら、ゆっくりコーヒーをのんだり、時折遊びに来ていたぶち猫(ぶっちゃん)が飼い主と散歩しているところに出会ったりと心穏やかに過ごしています。

季節の移り変わりを感じながら、丁寧に暮らすお話です。

 

【ネコと昼寝】れんげ荘物語:作者

1954(昭和29)年、東京都生れ。六回の転職を経て、本の雑誌社勤務時代にエッセイを書き始め、1984年『午前零時の玄米パン』を刊行、独立する。『トラちゃん』『鞄に本だけつめこんで』『膝小僧の神様』『無印おまじない物語』『ネコと海鞘(ほや)』『またたび回覧板』『飢え』『ヤマダ一家の辛抱』『ビーの話』『小美代姐さん花乱万丈』『きもの365日』『平林たい子伝 妖精と妖怪のあいだ』『かもめ食堂』『しいちゃん日記』『ぢぞうはみんな知っている』『おんなのるつぼ』『れんげ荘』『パンとスープとネコ日和』『おとこのるつぼ』『ゆるい生活』『じじばばのるつぼ』『うちのご近所さん』『子のない夫婦とネコ』など著書多数。

群ようこ | 著者プロフィール | 新潮社

 

【散歩するネコ】れんげ荘物語ネタバレ感想

キョウコの母親は意識が戻ったものの、脳内出血の後遺症による、認知障害が残ってしまいます。

かろうじて兄夫婦の事は認識できるのですが、孫やキョウコの事は分からないままなのでした。

そんな母親のことを、(そのまま自分の事をわからないままでいい)と思うキョウコ。

もし母親がキョウコの事を思い出したりしては、また顔をみるなりグチグチと小言を聞かされるからでした。

 

それにしても、脳とは本当に不思議。

目では顔を見分けても頭の中では以前のように認識が出来ない。

相手によって態度を変えたり、一部の記憶だけが残っていたりと様々ですが、脳って一体どうなっているんだろう。

出来ることなら誰もが愛された記憶、優しい記憶が残っていればいいのにと思いました。

 

他人の事を心配しているキョウコにクマガイさんは、他人に迷惑をかけなければ、自分の気持ちに嘘をつかないで生きていこうと思っていることをキョウコに伝えます。

 

どんなに計画を立てたって、先の事は誰にもわかりません。

クマガイさんとキョウコはそんな話をしています。

しかしこの先、限られた貯金で暮らしていけるのかという不安がないとはいえない。いつ何時、何かが予想とは違ってきて、これまでの計画が崩れるかはわからないのだ。

「そう、わからないの、誰にも。だからくよくよ思い悩んでも仕方がないのよ。それだったら、そう思わなくてもいい環境に自分を置いた方が精神衛生上いいんじゃないかしら」

「誰も明日はわからないのよ。だから享楽的という意味ではなく、なるべく自分が楽しく過ごせるように過ごしましょうということよね」

月3万円の家賃でエアコンや洗濯機がなく、共同シャワーやトイレはちょっと私には無理だけど、それ以外はこんなお隣さんだと良いなぁと思います。

そういう意味でもキョウコはとても幸せだと思うのでした。

 

キョウコにはご近所さんの他に、高校時代の親友で高校教師をしているマユちゃんがいます。

何かあると、マユちゃんに話を聞いてもらうキョウコでしたが、今回は施設に入所した母のことなどを話し、ご近所さんとも自分達はどうしていくんだという話になったと伝えるのでした。

既婚、未婚、子供がいてもいなくても、ある年齢になると考えることは同じなのだった。

実は私もつい最近友人と同じような話をした所でした。

 

本でのキョウコは私と年齢が近いので、この年代になると買えない物でも美しいものを見ると、心のやすらぎになるのはよくわかります。

図書館へ行ってシンプルでも美しい写真集をみると心が落ち着くのです。

 

キョウコを頼ったコナツさんは結局実家に一度戻ったものの、耐えられず「れんげ荘」と似たようなアパートに身を置く事になります。

なんだかんだと言い訳をつけてきたコナツさんでしたが、コナツさんのためにも、自分で生活をなり足たせるため、キョウコはキツイ物言いをしたことを反省しつつ、少しは現実の厳しさを知って貰えたらとお隣のクマガイさんに話すのでした。

「何気ない言葉に自分の至らない所を突かれて、はっとして反省する人もいるけれど、真正面からいわれても、全然、気が付かない人もいるからね。」

「これからの人生は長いんだし、納得できるような生き方をしないとね。でも長いようで短いのよね」

自分たちは年を重ねたからわかるけれども、若いひとたちは頭では分かっていても、現実として受け止められないのだろうと2人は顔を見合わせてうなずいた。

どれだけ歳を重ねたとしても、最期まで分からない人もいるのだから、それまでに分かると良しとしたいです。

そして最期はこの世に生まれてきて良かったと思いたいものです。

 

次回はれんげ荘物語第5弾「おたがいさま」に続きます。

 

「れんげ荘」との出会い☟

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なぜ働かないのかその理由とは☟

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