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【七十歳死亡法案、可決】あらすじと感想 垣谷美雨 幻冬舎文庫

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長生きなんかしたくない。どれだけの人がそう思っているのでしょうか。

【七十歳死亡法案、可決】賛成ですか。反対ですか。

ご自身の年齢から70歳まで後何年ありますか?

【七十歳死亡法案、可決】作品紹介

高齢者が国民の三割を超え、破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法案」を強行採決。施行まで二年、宝田東洋子は喜びを嚙み締めていた。我儘放題の義母の介護に追われた十五年間。能天気な夫、引きこもりの息子、無関心な娘とみな勝手ばかり。やっとお義母さんが死んでくれる。東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて……。すぐそこに迫る現実を描く衝撃作!

『七十歳死亡法案、可決』垣谷美雨 | 幻冬舎

好きな作家さんとタイトルに惹かれ、手に取りました。

70歳まで後何年か?と考えると人生の短さに身震いします。

【七十歳死亡法案可決】作者:垣谷美雨

2005年「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。誰もが直面する社会問題をユーモア溢れる筆致で描く作品が多い。
著書に『老後の資金がありません』『結婚相手は抽選で』『女たちの避難所』『定年オヤジ改造計画』『うちの父が運転をやめません』『懲役病棟』『墓じまいラプソディ』など多数。エッセイに『行きつ戻りつ死ぬまで思案中』がある。

【七十歳死亡法案、可決】あらすじとネタバレ感想

第1章:早く死んでほしい

70歳死亡法案が可決され、法律が施行されるまで後2年。

義母は現在84歳だから、残り後2年の我慢と考える主人公の東洋子(とよこ)。

この法律が出来たから、介護生活の出口がようやく見えるのでした。

だから、賛成の人もいるわけだ。

考え方次第で生き方がかなり変わる今回の法律は賛否両論なのです。

そんな主人公東洋子の息子は引きこもり生活になり、はや3年になろうとしていました。

絵に書いたようなエリートコースを生きてきましたが、人間関係のもつれから、引きこもり生活になったのでした。

人生が順調にいっている時は学歴や勤め先が噂になるのは大歓迎だった。でも歯車が狂ってからは自分の存在自体を忘れて欲しいと思うようになった。

この気持ち、分からなくはないなぁと思いました。

人間というものは、不思議な生き物です。

第2章:家族ってなんなの?

いったい家族ってなんなのだろう。

そして孤独とは?

 

母親を施設に預けている職場の青年と共にその母親を見舞った時、ふと青年の母親を見て東洋子の娘、桃佳が思い浮かんだ1つの映画「ジョニーは戦場へ行った」。

戦争で両手両足をなくし、目も耳もなくして意思表示をする手段がなくなったのに、頭だけははっきりしている青年の話。

 

孤独に寄り添う事が出来るのは誰でもできるのでしょうか。

 

東洋子の夫は能天気で自分の母親の介護は妻に任せきり。

夫の能天気さにも腹がたつけれど、助けを求めようとしない東洋子にも腹が立ちました。けれども、何度も言おうとし、その度に突っぱねられ「あきらめ」てきた東洋子にはそれが言えなかった。「あきらめ」るまでに至ったことが恐ろしかったです。

気付けたはずなのに、気づかなかった。気づけなかった。

相手の事を見ようとしなかったら、同じ家で住んでいても分からないものです。

見ようとする気持ちが大切なのだと思っています。

第3章:出口なし

とうとう全てにキレてしまう東洋子。

ついに家出をしてしまいます。

それにしても、50代で専業主婦は信用できない人間に見えるといったような態度を取る不動産店員。

何をするにもある程度のお金は必要なのです。

東洋子を見ていると、我慢ばかり。

我慢はするものじゃないということ。

ストレスは発散しないと、爆発した時が恐ろしいものに変わってしまいます。

 

第4章:能天気な男ども

今まで家の事をほとんど東洋子に任せてきたその家族たちは、東洋子が家出したことにより慌てふためきます。

それでも、人間やろうと思えばなんだってできるもの。

それぞれが、少しずつ家事等をやっていきます。やらないと誰もやってくれないから。

第5章:生きててどうもすみません

歳を重ねていくと、人生は一度キリだと言う事が身に沁みていくのだそうです。

歳をとるのは悪いことばかりではなく、色んなものが見えてくるもの。

そんな風に考えて生きていけるといいなぁと思います。

人は1人では生きてはいけません。

誰かに助けられそして自分も誰かの役に立つということ。

1人1人が考え行動することで、世の中が少しづつ変わっていくということ。

シンプルなのに、難しいのはなぜなんだろう。

第6章:立ち向かう明日
尊厳死の宣言書

1.私が不治の病になったとき、延命治療は一切お断りします。

2.ただし、痛みを和らげる処置は実施してください。そのために死期が早まったとしてもかまいません。

3.私が植物状態になった場合は、生命維持装置を外してください。

 

人生はどうなるか分かりません。

こういった内容は本人が自分の意思で書いておく必要があると思いました。

不治の病等で、苦しみ生きているだけということが、果たして本人にとって良いことなのかは、本人でしか分からないことです。

自分はどうしたいのか?

日頃から常に自分で決断する事がとても大切な事だと思います。

大切なことはいつもシンプル

大切なことは、自分で出来る事は自分でするということ。

どうしても難しい時は、遠慮せず周囲の助けをかりるということ。

助ける人は家族の1人に集中させず、家事を分担したり、公的機関を利用する等、全員が自分の出来る事をするということ。

 

自立するということ。

私も自分の事は出来る限り自分でやっていきたい。

そのために健康にも気をつけ、自分がどう生きていきたいのかを常に考えて生活しています。