おやじと聞くと自分の父親を親しんでいう事もありますが、私が真っ先に思い浮かぶのは、中年または老齢の男性です。
そんな中年おやじの丼ってなんぞや?不思議に思って手にした本です。
作品紹介
うすい人、勝手な人、ケチな人、臭い人、スケベな人etc. あなたの周りに増殖中の大迷惑でむかつくおやじたち。でもどこか笑えてちょっと可愛いその生態を「愛情」込めて描く爆笑小説。
群ようこ
1954(昭和29)年、東京都生れ。六回の転職を経て、本の雑誌社勤務時代にエッセイを書き始め、1984年『午前零時の玄米パン』を刊行、独立する。『トラちゃん』『鞄に本だけつめこんで』『膝小僧の神様』『無印おまじない物語』『ネコと海鞘(ほや)』『またたび回覧板』『飢え』『ヤマダ一家の辛抱』『ビーの話』『小美代姐さん花乱万丈』『きもの365日』『平林たい子伝 妖精と妖怪のあいだ』『かもめ食堂』『しいちゃん日記』『ぢぞうはみんな知っている』『おんなのるつぼ』『れんげ荘』『パンとスープとネコ日和』『おとこのるつぼ』『ゆるい生活』『じじばばのるつぼ』『うちのご近所さん』『子のない夫婦とネコ』など著書多数。
【おやじ丼】の感想
断れない人
断れない人って題だから「何を断れないんだろう?」と思っていました。
主人公ヤスミの直属の上司オカダミノル。
48歳の前頭部が薄くなった男性で黙々と仕事をするタイプ。
体格は中肉中背で、いつも同じ紺のスーツを着ている地味な感じ。
口数は少ないけれど、話しかけると返事はしてくれる。
どこにでもいる普通のおじさんかと思いきや、え~???なんです。
え?なんで?嘘やろ?と続きます。
ヤスミの疑問も分かります。
優柔不断すぎるやろ~
っていうか彼女たち大丈夫???
恥ずかしい人
こういう上司には出会った事がありませんが、めんどくさいなぁと思います。
似たような人はいましたが、ここまでひどくはなかったなぁ。
嫌だなぁを通り越して可哀そうな人になってしまうんでしょうね。
自信過剰もここまでいくと笑ってしまいます。
ゆるい人
主人公のフクオは、何もかもがゆるい。
意志もゆるすぎ。正直イラっとしました。
それでもなんていうか、本人も本人なりに気を遣っているというかこういう人もいるよねという思いで読みました。
周りが良い人達で良かったね。
電車の中ではありえませんが。
うすい人
人それぞれで、おやじはおやじで色々悩んでいるんですね。
こちらの主人公は文字通り抜け毛が激しく、薄毛に悩んでいます。
周りからしたら、(そんな気にしなくても)ということでも本人にとっては大問題の事って結構あります。
本や他人だと、その気持ちをまだ汲めたりするのに自分の身近な人にだとなかなかそれが分からない。なんでだろう?
一番共感してあげたいのに。
なんで出来ないんだろう?
なんどそう思ったことか。
人って、家族って難しいですね。
うろたえる人
あちゃ~です。
よかれと思ってやったことが、いらんことになってしまって。
よりによってなんでそれなん?って思います。
娘さんもお気の毒に。
心配する気持ちは分かるけれど、あなたよりちゃんと見ている人がいるんだからもう少しドーンと構えて欲しいと思いました。
勝手な人
勝手な人っていますね。
自分ルールがあるのか知りませんが、相手によって態度が変わる人。
挨拶も人によってするなんてありえません。
マメな人
家事をしてくれるのはありがたいけれど、奪ってしまうのとは違う。
自分だけが良ければ良いのではないし、こうしなければという決まりもない。
周りが困っていても、気付かない。
してやった‼で満足している人。
こういう人も苦手です。
ケチな人
お金はなんの為にあるのか?
貯金が趣味な主人公は、生活そのものがおかしく感じます。
人に与えるという事がなく、通帳の数字が増えるためだけに必死なので、嫌な感じが残ります。
ここまで貯金していったい何に使うんだろう?
臭い人
足のニオイ。
仕事から帰って靴を脱いだ瞬間いや~な臭い。
子ども達が「くさい、くさい」とわめいている。
自分では気づいてない父親。気づいてても言えない部下。
一生懸命働いているおとうさんなんですけどね。
ひとりの人
自分でやってみて初めて知る事って沢山あるなぁとこの歳でも思います。
気づくのが早いほど、頭が良い人だなと思う。
ちょっとした事が幸せでその幸せは当たり前じゃないって事は分かっているのに、今日一日過ごした日は二度と戻ってこない一日なのについダラダラ過ごしてしまう。
独りになってみて初めて分かる事。
周りがが心配してくれていること。
過去にとらわれないこと。
頭では分かっていたつもりでも全然わかっていなかった事がたくさんあります。
常に意識し、毎日を噛みしめて生きていく事。
主人公の前向きな姿がじーんときました。
やる気のない人
持って生まれた性格なのか、環境なのか人というのは分からない。
よく似た人は一定数いてるけれど、誰一人同じではない。
それぞれが、1つ良い物を必ず持っているはずなんだろうけど。
それを活かせるかどうかはまた別なのかもしれません。
やる気のない人は、何に対しても興味がないみたいだけれど、私はそうなりたくはないなぁ。旅行にだって行きたい。まだ知らない場所や行ってみたい場所に行きたい。
この主人公をみてそう思うのでした。
スケベな人
うわぁ気持ち悪いと思いますね。
作者はこんなおやじたちを上手く書けるなぁ~
色んなおやじがいるけれど、こんなおやじが世の中にはいるんだぁ~って知っておくのも良し。半面教師として知っておくのもいいですよ。