
原田マハさんの旅エッセイ【やっぱり食べに行こう】
世界中の「美味しい」を探しに旅して食べる美味しい「旅エッセイ」です。
【やっぱり食べに行こう】原田マハと旅エッセイの書き方
私も「美味しいもの」と「旅」が好きなので旅先でメモして書き留めますが、「作品」には程遠く、どうしても「出来事集」になってしまいます。
そこで、原田マハさんの旅エッセイを読みつつ、「旅エッセイの構成とは?」を考えながら自身も「出来事集」から、「旅エッセイ」に近づけるよう意識してみたいと思います。
旅エッセイの書き方
エッセイとしてダメなこと
旅先で書きとめるのはメモ。
旅日記もそうだけど、本来は日記なので出来事集でいいと思っています。
それを、自分だけがみるのではなく、エッセイとして少しカッコよくテクニックを使って作品にしたいなぁと欲張っている状態が今の私。
大切なのは、文体と意見と事実。
ここを抑えておけば大丈夫なんですが、これがなかなか難しい。
一番やってはいけないことは、感想もなく、ただ出来事のみを書いただけのものは読んでいてもおもしろくないですよね。
エッセイとは
そもそもエッセイとはなんでしょうか。
自分が感じたことや体験したことなどを、自由な形式で書いたもの
自由に書いたら、(日記みたいになるねん)と思いつつ。
私なりに考えたエッセイとは、日記を装飾し、時に削って文体を考えて、感想と意見の両方を書いたものだと思っています。
作家ではないので、装飾したり、文体を考えるのは難しいですが、感想と意見を書くことはできそうです。
※「意見」自分の考えや主張のこと
※「感想」自分の思ったことや感じたこと
エッセイって簡単なようで、難しい。
テーマを考えてみる
「自分が感じたことや体験したことなどを、自由な形式で書いたもの」を書けばいいのですが、ちょっとエッセンスを加えたい。
そんな時は、テーマを考えるのが一番。
注意することは、書きたいことと、視点を決めること。
原田マハさんの【やっぱり食べに行こう】では、「朝ごはん」「麺」「シーフード・肉」「デザート」等、いくつかのテーマがあって、そのテーマに合わせてエピソードが少しずつ書かれてあります。
例えば「朝ごはん」のテーマの中に(焼き立てバゲット)があります。
構成を考える
・自己紹介をする。
これは、自分がどんな人なのかを読んでもらう相手に知ってもらうこと。
書き手の旅をヴァーチャルで追体験してもらうには、どんな人なのかを知ってもらわないと、感情移入しにくいから。
例えば【やっぱり食べに行こう】の、(焼き立てバゲット)の中で
小説を書く際には徹底的に取材をしないと気が済まない性分なので、ここがピカソの住んだところ、これがゴッホの通った道…などと、パリの街角を歩きまわるうちにすっかり取り憑かれてしまった。
作家さんが、自分はこんな性格だからと書かれてあると、(あ~自分と同じだとか、意外だな、とか読みながら自分はどう感じるかと無意識に考えているのでした)
・動機を書く
なぜ旅にでようと思ったのか。
大したことがなくても、「何故そう思ったのか」は省略しない
【やっぱり食べに行こう】の、(焼き立てバゲット)の中では、
この五、六年は、ずっとパリ通いが続いている。『楽園のカンヴァス』の取材をするために長期滞在したのが2010年のこと。以来、19世紀末から20世紀初頭にかけてのパリを舞台とした「アート小説」なるものを書き続けている。世紀を挟んで前後50年ほどのあいだに、パリを中心として巻き起こった美術革命-印象派やピカソの登場ーに、もっぱら興味が引かれるからだ。
あ~、だからパリ、芸術の都パリなんだな。ということが分かります。
・情報
そこにはどんな人が住んでいるのか。
何語をはなすのか。
天候はどうなのか、場所はどこなのかなど、必要最低限の情報は書く
【やっぱり食べに行こう】の、(焼き立てバゲット)の中では、
いつ帰ってきても、パリはそのまんま。ゾラやモネやプルーストがかつて眺めた風景が、私を迎えてくれるのだ。
以前からのパリ通いから、現在もパリ滞在中の作者。情報がとてもよく分かります。
・エピソード
何をし、何が起きて、どう感じたのか。誰と出会い交流したのかなど。
【やっぱり食べに行こう】の、(焼き立てバゲット)の中では、
2ユーロコインをポケットに入れて、手ぶらでブランジュリーへいそいそと出かけていく。「ボンジュール・ユヌ・バゲット・シルヴプレ」と顔見知りのおかみさんに声をかけると、「ウイマダ~ム」と歌うような返事が返ってくる
この「ウイマダ~ム」の所なんかは、ディズニー映画の「美女と野獣」のオープニングのような声が聞こえてきそうです。
バゲットの真ん中にくるりと紙を蒔いて、はい、と手渡され、店を出る。部屋に帰るまで待ちきれず、あったかいバゲットをその場でかじれば、パリっともちもち、ああ、おいしいっ!またパリに帰ってきた。その喜びがあふれる瞬間なのである。
焼き立てのバゲットを待ちきれず食べる所は、本当に匂いまでこちらに届きそうで焼き立て独特のあの「カリッ」をハフハフしながら、同時に中のモチモチ感を味わう姿が想像できて、私も食べたくなってしまいます。
・まとめ
この旅はなんだったのかを振り返り、結論を考える。
これをしないと出来事集になってしまう。この部分は自分なりの「意見」を書くところ。
【やっぱり食べに行こう】の最後「おいしい!」を探しにの中では、
世界中を旅して、あれこれ食べて「おいしい!」を連発してきた私。その言葉の持つあたたかさ、喜びを忘れずに、これからも旅を続けよう。「おいしい!」を探しに、今日も明日もやっぱり食べに行こう。
と締めくくられています。
ちょっと疲れたなぁ、とか、気分を変えたいなぁ、とか、そんなとき、私は、この本のタイトルをおまじないのように心の中で唱えて元気を出している。最後にあなたとシェアしたい。
ね、やっぱり食べに行こう!
あとがきで書かれた最後の三行は元気が出ます。
食べに行く事が大好きな人にも、元気がない人にもおすすめの旅エッセイです。
時系列で書く
よく言われているのは、時系列で書く。
旅エッセイもそう。
朝起きてから夜寝るまで起きた事を書くのではなくて、「起承転結」を意識する。
・起:旅の動機
・承:旅先の地勢・歴史や文化など
・転:エピソード
・結:旅の総括「意見」
興味のある部分を中心にする
時系列で書くとどうしても、出来事集になってしまうなら、自分の興味がある部分を書いてみてもいいかもしれません。
自分の持っている知識であったり、物や人、感じた事など。
家を出てから、帰ってくるまで全てが旅の記録になります。
原田マハさんの【やっぱり食べに行こう】を読んだ後、私は【うん、食べに行こう】と思いました。
どの章もまるで一緒に旅したみたいな気分になりました。
作家さんのように、カッコよくは書けないし、書く必要もないけれど、基本はおさえて自分の感想と意見を加えて記事を読んでくれた人が【○○したい】と思ってもらえるようなエッセイを書くのが夢です。