
生きていると、不安な事、心配な事がたくさんあります。
自然災害、人間関係等、悩みは尽きません。
その度に、自分は何が好きで、何を好み、どういった事に興味があるのか?どうしたいのか?等、自分のタイプを知ることが大切だと思うようになりました。
思いやり家族
若かりし頃の友人が、周りから羨ましがられる環境にあったのに、自らその場所を去っていった理由が知りたくて、友人に連絡を取った主人公の医師。
その手紙には、いつまでたっても子供扱いされる家族に辟易した自分がいたことが分かったのだと友人が教えてくれたのでした。
友人が書くその理由は人によって、天国でもあり地獄でもあるのだと感じました。
だから人というのは、その人が何を感じ、どう思うのか?その人の思う幸せはその人にしか分からないのだと改めて思うのでした。
参考までに友人が書いた返信内容を載せておきます。
おひさしぶり。
キワちゃんが書いていた「包み込んでくれるようなやさしさ」という言葉で、当時のことが一気によみがえってきたよ。
でもトラウマはないから、心配は無用です。お気遣い、ありがとね。
私が結婚したのは20代半ばで、今考えてみると精神的にはまだ子供だったと思う。
自分がどういうタイプの人間で、どういう生き方がすきなのかが全く分かっていなかった。というより、考えたこともなかった。
夫が人周り年上なのをいいことに、何でもかんでも相談して頼りきってたのよね。
夫は根気よく付き合ってくれて、いつだって親身になってくれたし、わかりやすく自分の考えを説明してくれたりして、とても頼りがいのある優しい人だと思ってた。
夫だけじゃなくて、夫の両親も思いやりのある人たちで、そのことについては、今でもそう思ってる。
だけど、結婚して一年くらいたったあたりだったか、夫や夫の両親の優しさが、「保護者」としての優しさだと気づき始めたの。つまり、私を一人前の人間だと認めていないのよ。子どもの頭を「かわいい、かわいい」って撫でるみたいな感じ。
それを嬉しがる女性なら、きっとうまくいったんでしょうね。でも私は嫌だった。
夫や義両親が私のために先回りをして、よかれと思って色々やってくれるのは、私の能力や考えを軽んじているからだと気づいたの。つまり私は見下されていたってこと。それに気づいてからは、夫や義両親の親切が凄いストレスになった。
あの当時、私の気持ちを分かってくれる人は1人もいなかった。
みんな私のことを感謝知らずだとかわがままだとか考え過ぎだとか言って避難した。
周りから一斉にそういわれると、自分が悪いんだと思い込んで、どんどん気分が沈むようになったの。
まっこんなところかな。
性分
お金があるから幸せではないという事は、今までたくさんの人を見て思っています。
お金に困っていなくても、人の心というものは分かりません。
家族にすら、本音を言えない人はたくさんいるのです。
心に抱えているモヤモヤは家族に言えなくても、自分自身には言えるように吐き出せるように、友人でもノートでも大声を出すでもアリ。
とにかく吐き出すことが大事だと思っています。
ケンカ
何十年もの間夫と一緒に生活し、最近になって夫との間に距離を感じるようになっていったという友人がいました。
考えてみれば一度も喧嘩をしたことがないということ。
夫が常に穏やかで優しいのを今までも愛情だと思っていたけれど、それは気が小さいから言えなかったということにようやく気付いたのだそうです。
彼の笑顔の後ろに隠れた本音があるように思うといったこと。
大事なことを決める時でさえ「何でもいい」と言ってきたこと。
今になって「あの時」と言われたことが何度も出てきたこと。
夫は本当は何を考えているのか。
それは、親の事であったり内容は色々ですが、決定的な事は、いざとなった時に助けてくれなかった事にありました。
「俺、関係ないから自分で勝手に決めればいいよ」
関係ないという言葉で、離婚の3文字が思い浮かんだそうです。
世間からどうみられるかばかりを気にする人。
自分の主観だけで話をする人。
男性でも女性でも、相手が困った時に手を差し伸べてくれる人が本当に優しい人なんだと思います。
本性
夫は憎々しげに私をじろりと見た。
夫がそんな鋭い目つきをするのをはじめてみた。
眉間にしわを寄せ、イライラしているのがわかる。今まで知らなかった一面を見た思いがして怖くなってきた。
今まで優しい顔して、何も言わなかった夫がいきなりこんな感じになったら、恐怖です。
人には感情があります。
何も思わない、感じないといった機械みたいな人なんていません。
必ず、怒りや悲しみ、喜びなど感情があります。
ケンカはして当たり前。
ケンカをすることで、自分がどう感じ、どう思っているのか、どうしたかったのか?を話し合い、時には自分の弱みを見せることでより深く付き合っていけるのだと思います。
ケンカが良いとか悪いとかではなく、大切なのは、ケンカしっぱなしではなく、お互いが自分の気持ちをぶつけ合って、状況と気持ちを確認しながら2人で決めて行く。
そういった事が人生には必要なのだと思います。
だから自分のタイプを知るという事が大切なのだと私は思います。
絶縁病棟の医師は、患者を質問攻めにして委縮させてしまうちょっと、とっつきにくい医師。
3度の離婚歴があり、その理由は思ったことを全部口に出し、相手が弱っている時でさえも、白黒はっきりさせようとし、質問攻めにしていく。
そして彼女はそれのどこが悪いと本当に思っているのでした。
彼女のように正論で相手を責めてしまうと、相手は委縮してしまいます。
ケンカをした時は、お互いに頭を冷やし、心に少し余裕を持った時に話せばいい。
寄りそうといった事も大切だと私は思っています。
家族とのコミュニケーションは特に大切だし、それが出来るのもまた家族。
けれども、利害関係がない分、やりき過ぎた気持ちやつい感情がこもってしまう所もあります。
そういった時は、1人で対処しようとせずに、誰かの助けを借りる勇気も必要。
周りにいる、地獄のような他人との悪縁を断ち切るには、たくさんのエネルギーが必要になります。
3人の患者を追い詰める悪縁は、社会において性的なまなざしを向けられ、家庭においてケア労働を担わされがちな女性がからめとられやすいものだと思う。
小説はハウツー本ではないが、作家の想像力の結晶だ。
絶縁病棟の中にはさまざまな人間の思考と行動のパターンがつまっている。
エンターテイメントとして楽しみながら、災害みたいな人間関係に備える洞察力と気力を養いたい。
書評家 いしい・ちこさんより
解説にもあるように、ハウツー本ではないけれど、自分を見つめるきっかけになると思います。
おすすめです。